研究課題/領域番号 |
15390022
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
津田 正明 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (80132736)
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研究分担者 |
田渕 明子 富山医科薬科大学, 薬学部, 講師 (40303234)
今村 理佐 富山医科薬科大学, 薬学部, 助手 (10232620)
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キーワード | BDNF / PACAP / カルシウム / CREB / NRSF / 神経幹細胞 / cAMP / デルタメトリン |
研究概要 |
本年度は、神経活動依存的な遺伝子発現制御機構と神経機能発現との関連性に関する点を中心に、検討を進めた。また、活動依存的遺伝子発現を指標に、神経細胞活性化剤の新規スクリーニング法の検討を行った。 (1)脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子の二次的誘導機構の解析;ラット大脳皮質初代神経細胞培養系において、BDNf投与で活性型シナプス形成が促進される。この培養系で、BDNF投与で投与後3時間でBDMFexonIII発現の一次的誘導が認められるが、その24時間後に再びBDNFの発現誘導が認められた。この誘導は、TrkBレセプターと細胞内へのカルシウム(Ca^<2+>)流入に依存しており、ERK1/2の細胞内伝達系には依存していなかった。この自動制御系は、神経ネットワークの維持機構に有効と考えられ、記憶の固定化にかかわっていることが予想された。 (2)PACAP貴伝子のCa^<2+>とcAMPシグナルによる活性化機構;PACAP遺伝子プロモーター活性は、Ca^<2+>とcAMPシグナルで相乗的に活性化された。これには、グルタミン酸とドーパミン入力による、Ca^<2+>とcAMPシグナルの活性化が想定された。この両入力は、報酬学習や薬物依存に関わっている。また、Ca^<2+>シグナルによってPACAPmRNAの安定化が認められた。現在、この解析を進めている。 (3)神経特異的サイレンサーによるBDNFプロモーターI(BDNF-pI)の制御機構の解析;BDNF遺伝子プロモーターIIの-100の位置に神経特異的サイレンサーエレメント(NRSE)が存在する。このNRSEが上流約1.5kbに存在するBDNF-pIの活性化に与える影響を検討した。その結果、NRSE結合蛋白質NRSFによる抑制効果が認められるものの、Ca^<2+>シグナルによる活性化が認められた。NRSFは神経細胞の分化に関わっていることが指摘されており、この制御系は海馬歯状回における神経幹細胞の新生に深く関わっていることが予想された。 (4)BDNF遺伝子活性化剤のスクリーニング系の検討;BDNF遺伝子プロモーターを用いた、96穴多検体スクリーニング系を検討した。また、定量的RT-PCR法によって、種々薬剤の効果を調べた。その結果、ピレスロイド系殺虫剤デルタメトリンがBDNFexonIIIの発現を顕著に誘導することが明らかとなった。
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