研究課題
本研究は、炎症・アレルギーの発症に深く関わるマスト細胞の細胞外マトリックスプロテインへの接着機構を解明するために、我々が見いだしたマウスマスト細胞(mastocytoma P-815)のPGE2刺激によるフィブロネクチン接着反応について、本年度の研究実施計画に基づき検討を行い、以下の知見を得た。1.マスト細胞のマトリックスタンパクへの接着と接着マスト細胞の遊離に関するシグナル伝達系の解析PGE2刺激後短期培養細胞(O-8h)の接着はEP4サブタイプ受容体との結合で増加するcAMPにより起こる。この接着はPKA阻害剤H89処理により抑制されるが、長期培養細胞(16-24h)の接着はH89で抑制されない。このことから、細胞接着はPKA依存的シグナルで始まるが、接着細胞の維持にはPKA非依存的シグナルが主なシグナルとなり、Ca2+-CaMキナーゼとEpac(exchange protein directly activated by cAMP)-Rap1系の関与を発見した。2.マスト細胞のマトリックス接着と遊離に関与する遺伝子の発現制御機構に関する研究PGE2刺激による接着マスト細胞は非接着細胞に比して増殖能は低下しているが、ヒスタミン合成酵素活性、ヘパリン合成酵素、IL-6、MCP-9、CXCR4等の発現増加を認め、細胞機能は活性化していることがわかった。3.マトリックス接着を介してのマスト細胞と他炎症関与細胞の相互作朋の解析マウス背部皮下組織に作成した窒気襄に培養マスト細胞を注入し周辺組織への移行と接着を検索する実験系を確立した。局所へのPGE2処置でマスト細胞の組繊移行が起こり、COX阻害剤処置で抑制された。この細胞移行のシグナルに関わる炎症細胞を解析する実験系を検討した。
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