研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、マスト細胞が皮膚結合組織や気管支・小腸粘膜組織において細胞外マトリックス(ECM)に接着しているメカニズムを解明するために、マスト細胞の前駆細胞モデル細胞であるmastocytoma P-815 cells(P-815細胞)を用いて、そのECMへの接着に対して、炎症等において局所で産生されているプロスタグランジンE2がどのような役割を果たしているかについて検討することである。研究実施計画に基づき、実験を遂行し、以下の研究成果を得た。1.P-815細胞は、添加PGE2濃度依存的にECMの一つ、フィブロネクチンへ接着する。この接着反応はPGE2受容体サブタイプのEP4を介して、cAMPをセカンドメッセンジャーとし、PKAの活性化により起こる。このPKAへ依存的な接着反応は、刺激後数時間の潜伏期を経てから発現し、新規タンパク質合成を必要とすることがわかり、該当分子を単離しつつある。2.PGE2/PKAによりフィブロネクチンと接着したP-815細胞は、PKA非依存的な反応により接着が維持される。この接着は、細胞内Ca2+濃度を低下させるEGTA, BAPTA/AM ester処置、Ca2+チャネルのROCC阻害剤SKF96365で阻害を受けることを発見した。3.PGE2刺激で接着誘導されるP-815細胞はCaMキナーゼ阻害剤によりフィブロネクチンからの遊離を受ける。接着細胞の細胞内Ca2+濃度は非接着細胞に比して高い。4.PKA非依存的なシグナルの候補として、Epac(exchange protein directly activated by cAMP)の関与を証明することができた。以上、本研究の成果により、マスト細胞のPGE2誘導フィブロネクチン接着反応は、初期の接着の惹起期におけるcAMP/PKA反応と後期の接着維持期におけるCa2+/Epac反応から構成されていることが明らかにされた。
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