研究課題/領域番号 |
15390028
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
植田 弘師 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00145674)
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研究分担者 |
坂口 末廣 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60274635)
井上 誠 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60380987)
藤田 亮介 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70380855)
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キーワード | ストレス / 神経細胞死 / ネクローシス / 分泌 / 核移行 / 低酸素 / 無血清 / S100 |
研究概要 |
これまでに新規神経保護蛋白質NDIはストレス時に細胞外に遊離され、神経保護に働く事を見出している。NDIの遊離は、神経細胞におけるストレス回避機構として考えられる事から、この分泌機構の解明とその役割について、分泌に関連する相互作用蛋白質の解析を中心に明らかにした。また、この遊離は分泌小胞を介さない非古典的遊離であり、同様の遊離機構を介する分子に、プリオンと相互作用する事が知られているSTIが知られている。そこで非古典的遊離に関連する分子を明らかにする事でSTI及びプリオンの生理的意義が明らかになる事が考えられる。 これまでに初代培養神経細胞を無血清、低酸素のストレスに暴露する事で培養上清に分泌されるNDI蛋白質が増大することが観察されていたが、このメカニズムについてより詳細な解析を行うためにNDIに栄光蛋白質(EGFP)を融合させたNDI-EGFP融合蛋白質を作成し、これを恒常的に発現する株化細胞の作成に成功した。この株化細胞は初代培養神経細胞と同様に無血清、低酸素ストレスによって、通常、核に存在するNDI蛋白質を細胞外へ遊離する事が明らかになった。昨年度までに、この遊離機構には核から細胞質へ、細胞質から細胞外への2段階の機序が存在する事を想定しており、今回のNDI-EGFP発現細胞株を用いた検討において、核から細胞質への移行には、細胞内ATPレベルの減少が引き金になっている事を2-デオキシグルコースの処置によって明らかにした。このメカニズムはNDI-EGFPを常にATP依存的にインポーチンIが核内に輸送しているがATPの減少よってこの輸送能が低下し、細胞質に貯留する事が実験的に明らかになった。一方、これまでに細胞質から細胞外への移行にはS100A13を介する非古典的遊離機構である事を明らかにしていたが、さらに細胞質においてシナプトタグミンIがNDI、S100A13とが複合体を形成し、細胞膜近傍へ運ばれシンタキシンIと結合し、膜の裏打ちに保持される、それと同時に細胞内膜に存在するアネキシンIIとの結合によって、最終的には細胞膜のFlip-flopによって細胞外に輸送される機構を明らかにするに至った。
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