研究概要 |
本研究では妊娠期曝露が出生仔の生殖系及び脳神経系にどのような影響を及ぼすかを検討した。ICR系マウスに妊娠2日から16日目までディーゼル排ガス(DE)を吸入曝露(0,0.3,1.0,3.0mgDEP/m^3)し、出生仔に現れる様々な変化を解析した。その結果、胎仔期1.0mgDEP/m^3曝露では出生仔の体重が減少すること、副生殖腺重量が8日齢、16日齢では増加し、5週齢では減少することが認められた。また、血清テストステロン濃度に変化が認められ、一日精子産生量(DSP)が5週齢及び12週齢で有意に低下した。一方、除塵1.0mgDEP/m^3曝露では体重、副生殖腺重量の変化は認められなかった。光学顕微鏡による観察では、両曝露とも精細管内に精母細胞分裂異常像である多核巨細胞の増加が認められた。 胎仔期から7週までの連続曝露マウスの行動観察で、自発運動量が有意に変動し、脳内伝達物質の測定でドパミン系、セロトニン系の変動が認められた。 以上、胎仔期にDEを曝露された出生仔マウスにおいて、雄性生殖系や脳神経系に有害な影響が及ぶことが示唆された。
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