研究課題/領域番号 |
15390043
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山添 康 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00112699)
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研究分担者 |
古川 正幸 大塚製薬株式会社, 研究員
宮田 昌明 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (90239418)
永田 清 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (80189133)
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キーワード | Bile acid / Liver toxicity / FXR / PXR / Lithocholic acid |
研究概要 |
肝障害時の高い血中胆汁酸レベルが肝障害の鍵物質として注目されている。肝内の胆汁酸レベルは肝臓の胆汁酸合成酵素や胆汁酸トランスポーターの機能に依存し、これらの遺伝子の発現は核内受容体farnesoid X receptor(FXR)やpregnane X receptor(PXR)等によって調節されている。そこでFXR欠損とその野性型マウスにモデル化合物としてlithocholic acid(LCA)を摂取させ、肝障害誘発の機序を動態の面から解析した。雌性マウスに1%LCAを摂取させるとトランスポーター(Ntcp, Oatp, Mrp)のうちMrpファミリー以外のmRNAレベルは、野性型、欠損型共に減少した。また肝障害のレベルは欠損マウスよりも野性型マウスで強く現れ、肝内tauroLCAレベルと相関した。欠損マウス肝臓に野性型マウスと比べて5倍以上高いLCA硫酸抱合酵素であるsulfotransferase 2A(St2a)の発現が認められた。さらに欠損マウス胆嚢胆汁中に高い硫酸抱合型胆汁酸が検出された。この結果は再吸収されにくい硫酸抱合型胆汁酸が肝内のLCAレベルを低下させ、肝障害を軽減させていると考えられた。またLCAとPXRのリガンドであるpregnenolone 16α-carbonitrileを併用したところ、野性型マウスの肝内St2aタンパク含量、LCA硫酸抱合活性、糞中の硫酸抱合型胆汁酸の増加が認められ、LCAによる肝障害は軽減され肝内LCAレベルも減少した。ヒト肝可溶性画分にも高いLCA硫酸抱合活性が認められ、ヒトの対応する分子種と考えられるST2A3分子種にヒト肝可溶性画分と同様にLCAやtauroLCAに対して高い硫酸抱合活性が認められた。以上の結果よりPXRとFXRはST発現を正負に調節することによって胆汁酸によって誘発される肝障害の防御に重要な役割をはたしていることが示唆された。
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