研究課題/領域番号 |
15390044
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
千葉 寛 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (40159033)
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研究分担者 |
細川 正清 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (70181500)
小林 カオル 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (30255864)
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キーワード | マイクロアレイ / 胆汁うっ滞 / 遺伝子発現 / クラスター解析 |
研究概要 |
胆汁うっ滞初期において発現変化する遺伝子はうっ滞の原因、あるいは各種胆汁成分により鋭敏に発現調節される遺伝子であると考えられる。本研究では、2種の胆汁うっ滞モデルラット肝における遺伝子発現変化を比較解析することにより、胆汁うっ滞初期において特徴的に発現変化する遺伝子を同定した。胆汁うっ滞モデルラットは胆管結紮とα-naphtylisothiocyanate(ANIT)投与により作成した。肝臓における遺伝子発現変化は、血漿中総胆汁酸及び総ビリルビン濃度の上昇が認められた直後から、cDNAマイクロアレイを用いて経時的に解析した。両モデルにおける血漿中総胆汁酸及び総ビリルビン濃度の上昇プロファイルは非常に近似しており、クラスター解析により、両モデルにおいて近似した遺伝子発現変動推移を示す遺伝子が25種存在することが明らかとなった。これらの遺伝子の中で一過的上昇を示した遺伝子には核内レセプターの一種であり、種々の遺伝子の発現低下機構に関わる事が知られるsmall heterodimer partner (SHP)と、細胞における抗アポトーシスの分子機構に関わるB-cell translocation gene 2及びsequestosome 1が含まれていた。また、発現低下が確認された遺伝子には、胆汁酸からの毒性防御的な役割を果たすcytochrome P450 7A1 (CYP7A1),cytochrome P450 8B1 (CYP8B1)及びsodium/bile acid cotransporter (NTCP ; SLC10A1)をコードする遺伝子が含まれていた。これらの遺伝子は全てSHPの発現上昇に遅れて発現が低下する変動推移を示していた事より、SHPを介した発現低下機構が肝細胞の胆汁酸からの細胞防御機構に関わる可能性が示された。
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