研究課題/領域番号 |
15390045
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 洋史 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80206523)
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研究分担者 |
吉里 勝利 広島大学, 大学院・病理学研究科, 教授 (20095516)
菅原 寧彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (90313155)
楠原 洋之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (00302612)
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キーワード | 肝輸送 / 胆汁排泄 / OATP / MRP2 / 有機アニオン / 肝取り込み / ヒト肝細胞 / キメラマウス |
研究概要 |
薬物のヒト肝胆系移行を予測するシステムを構築することを目的として、ヒト肝細胞移植マウスを用いた検討を行った。最初に、これらのマウスのcharacterizationを行った。肝臓血流速度のマーカーとなる、dibromosulfophthalein (DBSP)の肝臓への取り込みについて初期取り込み測定法により検討した。ddY系マウスのほか、ヒト肝細胞移植マウスを用いた。その結果、ddY系マウスでは0.45ml/min/g肝臓、ヒト肝臓の置換率が低い移植マウス(1%程度)では0.45ml/min/g肝臓、および高い移植マウス(60-70%)では0.42ml/min/g肝臓の値が得られ、ヒト肝細胞移植マウスにおいても血流の供給は正常マウスと同等であるという基礎情報を得ることができた。次に、有機アニオン輸送系により肝胆系移行を受ける、高脂血症治療薬プラバスタチンの肝臓取り込みについて検討した。その結果、上述の3種のマウスで、順に0.36、0.20、0.14ml/min/g肝臓の取り込みクリアランスの値が得られた。現在、移植マウス肝臓へのプラバスタチン取り込みを、ヒト肝取り込みトランスポーター(OATP2)発現細胞への取り込みから定量的に予測しうるか否かに関する検討を進めている。また、移植マウスにおける輸送実験が、ヒト個人差を反映することを示すためには、例えば遺伝的多型の影響で輸送能力が低下しているなどの特徴を有する肝細胞を移植し、移植マウスにおいても肝取り込みが低下していることを示す必要がある。この目的のために、本年度はOATP2および胆汁排泄に関与するMRP2の遺伝的多型体の機能を測定した。その結果、OATP2#15という遺伝的多型体では輸送機能が顕著に低下するものの、比較的高頻度で観察されるMRP2の遺伝的多型体の機能には変化がないことなどを明らかとすることができた。
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