研究課題/領域番号 |
15390047
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
大森 栄 信州大学, 医学部附属病院, 教授 (70169069)
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研究分担者 |
松永 民秀 信州大学, 医学部, 助教授 (40209581)
佐々木 克典 信州大学, 医学部, 教授 (30170666)
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キーワード | 胚性幹細胞 / 胚様体 / 分化 / シトクロムP450 / 薬物トランスポーター / マウス / サル / HNF-3β |
研究概要 |
マウス胚性幹細胞(ES)細胞は、胚様体(EB)を作製した後、コラーゲン処理プレートに接着させ、さらに培養することにより分化させた。接着後6〜10日で自律拍動が観察されたことからES細胞は一部心筋細胞に分化したものと推察された。一方、肝細胞の初期分化マーカーであるアルファフェトプロテイン(AFP)やトランスサイレチンのmRNAの発現は培養6日目から認められた。さらに、より成熟した肝細胞に発現するグルコース-6-ホスファターゼのmRNAは培養30日目以降で初めて検出されたことから、本条件においては30日間培養することにより、成熟した肝細胞へ分化していることが示唆された。また、シトクロムP450(Cyp)の解析において、Cyp1a1 mRNAは培養初期に一過性に発現が認められたが、薬物代謝型の主要な分子種であるCyp3a11とコール酸生合成の律速酵素であるCyp7a1のmRNAは培養30日目および36日目に発現が認められた。これらは、発現するCyp分子種が分化に伴い変動することを示すものである。また、免疫染色法によりCYP1Aは培養20日目に、CYP3Aは30日目にタンパク質の発現が認められたことから、これらCYP分子種はES細胞から分化した肝様細胞に発現していることが明らかになった。さらに、Cyp3a11のmRNA発現量は、肝細胞増殖因子(HGF)を含む培地で30日間培養した系よりも、12あるいは18日以降にHGFを除いた系で培養した方が多かった。これより、EBの培養中にHGFを長期間添加することはCypの発現をむしろ抑制することが明らかとなった。また、排泄型薬物トランスポーターであるMdr1、Mdr3、Mrp1およびMrp2のmRNAは培養初期より連続して発現が認められた。サルES細胞においてもマウスと同様に検討を行い、ほぼ全てに自律拍動が認められる条件を確立した。また、AFPやアルブミンの発現も認められたことから、肝様細胞に分化していることが推測された。HNF-3βは肝細胞への分化に重要である。HNF-3βの肝細胞への分化に及ぼす影響を明らかにするために、ヒトHNF-3βのcDNAをクローニングした。現在、アデノウイルスにて発現させるために、発現用ウイルスを構築しているところである。
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