研究課題/領域番号 |
15390057
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
柴田 洋三郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90037482)
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研究分担者 |
西井 清雅 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20264020)
稲井 哲一朗 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00264044)
中村 桂一郎 久留米大学, 医学部, 助教授 (20172398)
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キーワード | 心臓 / ギャップ結合 / コネキシン / gene targeting / heart / gap junction / connexin |
研究概要 |
1.心筋アクチンプロモーターCreにより心筋特異的にCx45を欠損したマウスを作製した。単純Cx45欠損マウスと同様にA-V伝導ブロックを呈して胎生致死であった。従って、Cx45は胎生早期の心筋の正常な興奮伝導に必須であることが実証された。 2.一方、Tie2プロモーターCreにより血管内皮特異的にCx45を欠損したマウスを作製した。これらは出生後も健常に発育することが明らかとなった。従来我々は心内膜内皮細胞間に発現するCx45ギャップ結合が心内膜床細胞の誘導に必須のepithelial-mesenchymal transfomationを制御する因子と考えてきたが、実際にはこの機構はさらに複雑なものであると考えられる。興味深いことに単純Cx45欠損マウスは心内膜床障害を示すが心筋特異的Cx45欠損マウスはそうではない。またcTnT欠損マウス(後述)は心内膜床障害を示す。これらの変異マウスを材料として心内膜床形成の分子機構を解明したい。 3.Cx43(+/-)-Cx45(+/-)マウスの交配により胎児を大量に解析した。Cx43(-/-)の系統に関しては従来の報告どおり心臓の流出路障害を呈して出生前後に致死となった。また、Cx45(-/-)の系統に関してもわれわれが記述した心筋伝導障害と心内膜床障害が再確認された。特に、Cx43-Cx452重欠損マウスは、Cx45のみの欠損マウスと同様の表現型を示すことが分かった。今後さらに検体数を集めてデータの信頼性を向上させた後に発表する。 4.海外の共同研究者(Harvard大David Paul教授およびNIHのCecilia Lo教授)と作製中のneuron/glia/neural crest specificなCx45欠損マウスの表現型の解析が進行中である。 5.胎児心拍の重要性を検証するため、心筋型トロポニンT(cTnT)欠損マウスを作製した。cTnT欠損マウスの心筋細胞内ではsarcomereの形成が障害されて、胎児の心臓は拍動することなく死亡する。死亡時期は心筋特異的Cx45欠損マウスと同じであるため、初期心拍動の重要性が改めて示された。
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