研究概要 |
(1)肝臓内の樹状細胞幹細胞(DCstem)をラット肝移植の系で証明(番号は申請時の研究目的を示す) ラットアロ肝移植後に、移植片由来の細胞がホストの血管から全身のリンパ組織に入り、T細胞増殖性応答を惹起することを見いだした.この細胞は一部増殖能を持ち、I型およびII型主要組織適合抗原とICAM1陽性だが、それ以外のDCマーカーやリンパ球・マクロファージマーカーについては陰性であり、DCstemである可能性が強く示唆された(投稿準備中).これに関連して、ラットクッパー細胞を精製・培養し、LPS投与すると、DC前駆体を誘引するケモカインであるMIP1aやIP10を数時間単位で大量に産生することを証明した(発表論文). (2),(6)ドナー肝と骨髄のDCstem分画の解析 肝の非実質細胞分画からDC粗分画を集め、蛍光標識して細胞移入をおこなった。酵素処理のためか、肝移植に比しドナー細胞がホスト内で急激に消失することがわかり、現在、精製過程の細胞障害を防ぐ方法を検討中である. (3)コンジェニックラット間の肝移植を行い、ホスト内へのDCstemの生着を検索する 現在15匹あまりのコンジェニックラットの肝移植が済み、長期観察(3〜18ヶ月)を開始したところである.他に、同じ組み合わせで、胸管リンパ球細胞移入、脾臓移植、骨移植を行い、比較観察中である.一部の成果として、静脈投与したドナー胸管リンパ球が、4ヶ月後でも多数ホスト内に存在することがわかり、長寿命の再循環リンパ球がラットでも存在することを明らかにした(学会発表:The XIIth International Symposium on Molecular Cell Biology of Macrophages. Utsunomiya, Japan, June 19,2003).
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