研究課題
心血管系細胞(心筋細胞・血管平滑筋細胞・内皮細胞)では、カベオラと呼ばれる脂質に富んだ特殊細胞膜領域にシグナル伝達分子が集中している。本年度は、同部位における動的なタンパク間相互作用の変化のイオンチャネル機能調節に果たす役割を検討した。これら心血管系細胞では、細胞内カルシウム流入により内皮型一酸化窒素合成酵素eNOSが活性化されガス状シグナル分子NOが産生される。これにはeNOS・caveolin・calmodulin間の動的タンパク問相互作用が関与する。また細胞ストレッチ・shear stress、性ホルモンによりSer/ThrキナーゼAkt経路でeNOSが活性化される。これにはPI3キナーゼ・Akt・eNOSを含む複数の動的タンパク間相互作用が関与する。産生されたNOはカルシウムチャネルをcGMP依存性リン酸化により抑制し、カリウムチャネルを新規シグナル伝達システムである"直接タンパクニトロ化"により活性化する(Bai et al.Br.J.Pharmacol.2004)。カルシウム流入・ストレッチによるチャネル調節は、長年不明であったmechano-electrical feedback機構と呼ばれる心血管細胞保護機構のメカニズムとなることを見出した(Bai et al.Circ.Res.2005)。また、不整脈発現には男女差が存在するが、性ホルモンによるイオンチャネル調節機構が不整脈のジェンダー差の原因であることも明らかにした(Bai.et al.Circulation in revision)。さらに、これらシグナル伝達機構のマクロ複合体形成の鍵を握る分子として、calmodulin結合部位・caveolin結合部位を持つSG2NAと呼ばれるが重要と考えられ、同cDNAをクローニングし、タンパク相互作用の検討段階に入った。
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