研究課題
基盤研究(B)
ラット聴覚中継路核である内側台形体核(NMTB)から外側上オリーブ核(LSO)に入力する抑制性回路において、NMTBを刺激してその入力様式を電気生理学的手法により検討した結果、生後0-3日目は主にGABA作動性入力であり、発達に従い次第にグリシン性成分増加し、生後14日以降はグリシン作動性に変化した。終末から放出される単一シナプス小胞によるイベントである微小シナプス電流(mIPSCs)について、発達各時期において解析を行なった結果、mIPSC自体が未熟期のGABA作動性から、GABA+グリシンのco-releaseを経て成熟期のグリシン作動性に変化することが判明した。免疫伝顕にて個々のグリシン陽性終末内のGABA含有量が発達に伴い次第に減少することが判明した。この結果はLSOに入力する抑制性伝達様式が単一シナプスレベルでGABAからグリシンへ発達スイッチすることを意味する。伝達物質の単一終末レベルでのスイッチという全く新しい神経回路の発達再編を提起できた。次に、GABAが同様のCl-チャネルを活性化するグリシンへ発達変化する生理学的意義を検討するために、代謝型GABA-B受容体の発現/機能の発達変化を検討した。未熟期LSO細胞にはGABA-B受容体が強く表現しており、LSOへの抑制性入力を低頻度刺激すると、シナプス後細胞GABA-B受容体を介するGABA入力の長期抑圧(LTD)が観察された。発達に伴い、LSO細胞のGABA-B受容体の染色性、抑制性LTD発生は消失した。成熟期LSOの本来の機能である音源定位という安定した機能回路を獲得するために、未熟期における回路再編に関連すると考えられるGABAによる可塑性が張ったつと共に消失し、sharpな抑制性シナプス電流を惹起するグリシンへ発達スイッチするのかも知れない。更に、神経終末におけるGABA-B受容体による抑制性伝達抑制も発達異伴い減少することが判明し、LSOにおける伝達の単純化が音源定位の機能獲得にひつようである可能性が示唆された。
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