研究課題/領域番号 |
15390066
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
中澤 博江 東海大学, 医学部, 教授 (20110885)
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研究分担者 |
石田 英之 東海大学, 医学部, 助教授 (20222424)
福山 直人 東海大学, 医学部, 講師 (50349338)
竹腰 進 東海大学, 医学部, 助教授 (70216878)
後藤 信哉 東海大学, 医学部, 助教授 (50225653)
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キーワード | レドックス / 心・血管系 / 活性酸素 / nitric oxide / PAI-1 |
研究概要 |
16年度の実験において、ヒト冠動脈内皮細胞にLDLを添加すると接着因子などのPro-inflammatory因子の発現は増加し、一酸化窒素などのAnti-inflammatory因子は減少した。HDLは逆の作用を示し、これまでの報告と一致したが、PAI-1分泌はLDLよりもHDLに反応して増加し、PAI-1を動脈硬化の促進因子としている現在の見解とは矛盾した。この結果を踏まえ17年度は、酸化LDLと酸化HDLにおける反応を検討し、PAI-1分泌における細胞内制御系のクロストークを明らかにするために以下の実験を行い結果を得た。 〔実験〕ヒト冠動脈血管内皮細胞を48穴プレートに増殖させLDL、HDL、TGを200、400、600、1200mg/dl添加し、24時間後に上清でNO代謝産物(NO_2^-+NO_3^-)、PAI-1、PAI-1 mRNA : real-time RT-PCRで発現量、Northan Blot Analysis、vWF : Enzyme immunoassayとマルチマー解析によるsize分布測定した。また別の血管内皮細胞を10mlの培養ボトルで増殖させて5×10^6 cellに対して同様のLDL、酸化LDL、HDL、酸化HDL、TGを添加し、ABI PRISM 7000装置によりTaqManプローブを用い、real RT-PCRでPAI-1のmRNAを評価した。 〔結果〕LDLとHDL、酸化LDLと酸化HDLを添加すると全てにおいてPAI-1の分泌はHDLで高いことが示された。加えて、16年度に集中的に実験を行ったPAI-1mRNAとその分泌に関わる細胞内伝達のクロストークによってHDLが増加するカスケードを活性化させる事が示された。 現在動脈硬化症例においてPAI-1の上昇が認められ、PAI-1が動脈硬化促進因子とされているが、本研究によりPAI-1が促進させるのではなく、動脈硬化巣から分泌されるために上昇していることが分かった。
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