| 研究分担者 |
松本 昌泰 広島大学, 大学院・医歯薬総合研究科, 教授 (20192346)
川真田 聖一 広島大学, 医学部, 教授 (30127641)
村田 潤 広島大学, 医学部, 助手 (00304428)
原田 俊英 広島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60181020)
郡山 達男 広島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80195693)
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| 研究概要 |
1 心循環系効果器の時間遅れを見込んだ予測的な心循環調節を行うためには高次中枢から下降する中枢コマンドによるfeedforward制御が最重要であるが,その発生源や神経回路等は、"Black-box"として残されている。中枢コマンドの発生に中脳腹側被蓋野(VTA)のドパミン神経細胞が関連するという仮説を解明するため,動物を用いた基礎的研究および健常者や特発型Parkinson病(IPD)患者を用いた臨床的研究を実施した。
2 麻酔動物を用いてVTAや黒質(SN)を電気刺激し心拍数(HR),動脈血圧や大腿動脈血流量に与える影響を調べた。VTAの電気刺激は大腿動脈血流量を増加させたが,SN電気刺激は影響を与えなかった。HRや動脈血圧に関しても同様な成績を得た。中脳に存在するドパミン細胞群の中でもVTA細胞が心血管運動支配の自律神経系に影響することを解明した。
3 指先連続血圧計(Finometer)による血圧波形からModelflow法を用いて毎分心拍出量(CO)や一回心拍出量(SV)を記録した。この方法の信頼性を調べるため色素希釈法と比較したところ両者間で有意な相関関係を得たので,Modelflow法はCO計測に適用可能であると思われた。
4 IPD患者は広範な中脳ドパミン細胞群の変性のため運動障害や循環調節異常を呈する。年齢が一致した健常者およびIPD患者を用いて1)静的運動時,2)自発的な動的運動時そして3)自発的な立位時にみられる心循環動態応答を比較した。静的運動として掌握運動を数分間行わせ,動的運動として数mの距離を自発的に歩行させた。健常者では随意的な立位や運動に際してHR, COやSVは自律神経性調節を受け増加したが,IPD患者ではそのような心循環応答は減弱していた。以上から中脳ドパミン神経細胞群は心循環系中枢コマンドの発生に関連することが示唆された。
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