研究課題/領域番号 |
15390081
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
丹羽 正美 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20136641)
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研究分担者 |
山下 康子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (80291532)
片峰 茂 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40161062)
西田 教行 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40333520)
片岡 泰文 福岡大学, 薬学部, 教授 (70136513)
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キーワード | 血液脳関門 / ペントサン / ヘパリン誘導体 / プリオン病 / アルツハイマー病 / コンフォメーション病 |
研究概要 |
ペントサンポリ硫酸(PPS)の(1)血液脳関門in vitro再構成系(BBBキット)を用いたBBB保護・機能維持効果を検証した。PPSは、我々の考案したBBBキットで、膜電気抵抗transendothelial electrical resistance(TEER)を用量依存的に、20μg/mlの最小濃度から200μg/mlまで、最大140%TEERを増大した。TEERは、BBBのtight junction(TJ)機能を反映するので、TJ構成タンパク質をウエスタンブロット法で、定量したところ、このPPSによるTEERの増大は、TJ構成タンパク質のclaudin-5の発現高進を伴っていた。同時に測定したZO-1の発現量には、変化が無かった。heparinには、BBBキットのTEERの増大効果は、無かった。(2)BBBキット用いた脳内送達性の評価。i)verapamilによるP-糖タンパクの抑制に対しては、効果を観察出来なかった。ii)angiotensin IIは、TJ機能を低下させるが、200μg/mlで有意な阻害効果が観察されたが、heparinでも同等な効果が観察された。ii)adernomedullin(AM)拮抗薬のAM(22-52)、AM(1-25)によるTJ機能低下には、用量依存的な阻害効果が観察された。この作用は、PPSに特異的であった。(3)in vitro検定系によるPPSの抗アミロイド(ss-amyloid(Ass))活性を検定した。ヒト神経芽細胞由来細胞株(SKNSH SY5Y)によるss-amyloid前駆タンパク(APP)分泌能を指標に抗アミロイド活性を検定したところ、PPSは著明にAPP分泌能を抑制した。しかし、この効果は、heparinでも観察されPPSに特異的ではなかった。(4)in vitroモデルを用いて虚血性神経細胞障害に対するpentosan polysulphateの効果を検討した。4 vessels occlusionラットモデルの海馬CA1領域錐体細胞は、7分総頚動脈結紮の虚血再還流で約50%から60%の神経細胞死が観察されるが、PPS-Ca 3mg/kgを再還流直後に静脈内投与すると、有意にその脱落する割合が減少した。(5)in vitroプリオン病であるハムスター型プリオンタンパク発現遺伝子改変マウスTg7に、1%263K脳乳剤を脳内に接腫し、接腫後同様にPPSを4週間投与し、マウスが死亡するまでの潜伏期間変化を観察したところ、僅かにPPS群で、延命効果が観察された。
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