研究課題/領域番号 |
15390084
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
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研究分担者 |
畑中 公 北里大学, 医学部, 助手 (00228470)
川村 道子 北里大学, 医学部, 助手 (00154104)
林 泉 北里大学, 医学部, 助教授 (90172999)
藤田 朋恵 北里大学, 医学部, 助手 (20296510)
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キーワード | プロスタグランジン / 血管新生 / EP受容体 / がん / VEGF / AP-1 / リンパ管新生 / アンギオテンシンII |
研究概要 |
本年度はプロスタグランジン(PGs)受容体欠損マウスを用いどのPG受容体シグナリングが腫瘍の血管新生に重要であるかをはじめて明らかにすることができた。Sarcoma180細胞を接種したマウスはCOX-2阻害薬を投与すると腫瘍増殖・血管新生が抑制され、COX-2由来のPGが関与していることが明らかになった。プロスタグランジンE2(PGE2)のEP受容体にはEP1-EP4の4種類が存在する。マウスの背部皮下にスポンジを移植し、このPGE2の選択的EP受容体アゴニストを投与したところEP3受容体アゴニストで著名な血管新生増強作用を認めた。マイルドタイプ(C57BI/6)とEP3受容体受容体欠損マウスで同様の実験を行うとEP3受容体受容体欠損マウスで血管新生の抑制が認められた。ワイルドタイプとIP及びEP1-EP4受容体欠損マウスの背部皮下にSarcoma180細胞とLewis肺がん細胞を移植するとEP3受容体欠損マウスで血管新生・腫瘍増殖の抑制がみられ、血管新生因子(Vascular Endothelial Growth Factor, VEGF)の宿主側のストローマーの線維芽細胞での発現がEP3受容体欠損マウスで抑制されていた。ゲルシフトアッセイで調べるとこのVEGF発現には転写因子AP-1が関与していることが明らかになった。ワイルドタイプのストローマーにEP3受容体拮抗薬を投与すると血管新生・腫瘍増殖は著しく抑制された。以上のことから、宿主側のストローマーにおけるEP3シグナリングが、VEGFを介して腫瘍血管新生を増強することが明らかになった。今後EP3受容体拮抗薬が癌の新治療として大いに期待が持てると思われた。合わせて癌血管新生におけるangiotensin IIの役割の解析、リンパ管新生の評価(VEGFR-3染色)をスタートさせることができた。(787字)
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