研究課題
新生分泌蛋白、膜蛋白は小胞体で、高次構造の形成、複合体形成などを受け機能的に成熟し、細胞内の適切な場所に輸送されて機能を発現する。異常蛋白は小胞体において、分子シャペロンによるquality controlを受け分解除去される。異常蛋白が小胞体に集積すると、分子シャペロンの産生増加、蛋白合成抑制、異常蛋白の分解促進などの小胞体ストレス反応が起るが、同時に分泌系に関与する蛋白の遺伝子発現も促進される。可溶性小胞体分子シャペロンのカルボキシ末端にはKDELアミノ酸配列があり、小胞体から分泌されてもゴルジ体でKDEL receptorによってKDEL配列が認識され小胞体に逆輸送される。そこで、このKDELレセプターによる蛋白輸送の小胞体ストレス反応への関与を培養細胞で検討した。小胞体ストレス下に増大した異常蛋白と小胞体分子シヤペロンの一部は小胞体のquality controlを逃れて、小胞体から分泌され、KDEL receptorによって再び小胞体へ逆輸送されることが示唆された。変異KDEL receptorを発現する細胞株を作製した所、HeLa細胞株では小胞体ストレスへの感受性が増大したが、Neuro-2a細胞株では小胞体ストレスに対して抵抗性を示し、KDEL receptorの機能は細胞種によって異なる事が示唆された。そこで個体レベルでのKDEL receptorの機能を解析中ために野生型あるいは変異KDEL receptorを発現するトランスジェニックマウスを作製した。変異KDEL receptorを発現するトランスジェニックマウスでは心筋症の発症が見られた。現在その他の病変について解析中である。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
Biochem Biophys Res Commun. 320
ページ: 766-772
Mol Cell Biol. 24
ページ: 8007-8017