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2003 年度 実績報告書

構造転写因子Bachの遺伝子回路による血液細胞分化制御

研究課題

研究課題/領域番号 15390095
研究機関広島大学

研究代表者

五十嵐 和彦  広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00250738)

研究分担者 武藤 哲彦  広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80343292)
田代 聡  広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (20243610)
キーワードグロビン / 赤血球 / Bリンパ球 / 酸化ストレス / 転写因子 / クロマチン / ヒストン
研究概要

方法:赤芽球系MEL細胞を用いて,ヘミン処理前後のBach1-エンハンサー複合体の動態をクロマチン免疫沈降法で検討した。この動態を,DMSOで誘導される細胞分化時の動態と比較した。結果: MEL細胞は,通常培養条件下ではグロビン遺伝子をほとんど発現しないが,細胞をDMSOで処理することにより,24時間内にmRNA転写が強く誘導される。この時間経過で,グロビンエンハンサーへのBach1の結合量をクロマチン免疫沈降法で測定したところ,誘導前にはエンハンサーにBach1がMafKとの複合体として結合しているが,DMSO処理後1日以内にBach1がエンハンサーから解離することが明らかになった。この間,MafKはエンハンサーに結合したままであり,Bach1の解離とともに活性化サブユニットp45(MafKとともに赤血球特異的転写因子NF-E2を形成する)がエンハンサーに結合してくることが判明した。Bach1の解離は,MEL細胞をヘミンで処理しても同様に観察された。既に他のグループから,DMSO誘導前でもクロマチンは活性化状態にあること,プロモーターにRNAポリメラーゼがリクルートされていることが報告されている。したがって,Bach1はHO-1と同様にグロビン遺伝子においても,エンハンサーに結合し転写を抑制するが,この抑制は活性化の前段階に相当する状況にあること,すなわち,Bach1はエンハンサーやプロモーターにおける転写複合体を途中の段階に留め置くことにより転写を抑制すると考えられた。さらに,赤血球分化とともに大量に合成されるヘムが,Bach1を標的としてその活性を変えることにより,グロビンエンハンサー上での転写抑制因子と活性化因子の動的変換を誘導する可能性が示唆された。これは,ヘム代謝とグロビン遺伝子転写とが共役する分子機構を成しているものと予想される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Tashiro, S.: "Repression of PML nuclear body-associated transcription by oxidative stress-activated Bach2"Mol.Cell.Biol.. (in press). (2004)

  • [文献書誌] Sun, J.: "Heme regulates the dynamic exchange of Bach1 and NF-E2-related factors in the Maf transcription factor network"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 101. 1461-1466 (2004)

  • [文献書誌] Brand, M.: "Dynamic changes in transcription factor complexes during erythroid differentiation revealed by quantitative proteomics"Nature Struct.Mol.Biol.. 11. 73-80 (2004)

  • [文献書誌] Tahara, T.: "Heme positively regulates the expression of b-globin at the locus control region via the transcription factor Bach1 in erythroid cells"J.Biol.Chem.. 279. 5480-5487 (2004)

  • [文献書誌] Suzuki, H.: "Cadmium induces nuclear export of Bach1, a transcriptional repressor of heme oxygenase-1 gene"J.Biol.Chem.. 278. 49246-49253 (2003)

  • [文献書誌] Kamio, T.: "The B cell-specific transcription factor BACH2 modifies the cytotoxic effects of anticancer drugs"Blood. 102. 3317-3322 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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