研究課題/領域番号 |
15390101
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
澁谷 浩司 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30261324)
|
研究分担者 |
白壁 恭子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00345315)
漆山 誠一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (30334428)
|
キーワード | TGF-βシグナル / Wntシグナル / NLK / TAK1 / STAT3 / 中胚葉誘導 |
研究概要 |
本研究ではTGF-βおよびWntシグナルに関与する分子に相互作用する分子を単離し、個体レベルでの解析を目指し、研究を進めた。NLKはMAPK様のセリン/スレオニンキナーゼで、TAK1の下流で転写因子であるTCF/LEFをリン酸化する事によりWnt/β-cateninシグナル伝達経路を負に制御する事が知られている。しかし、生体内におけるNLKの機能は依然不明な点が多く、Wntシグナル伝達経路以外のシグナル伝達経路にも関与する事が示唆されていた。本年度は酵母Two-hybrid法を用いて単離されたNLK結合因子であるSTAT3の機能解析を行う事により、TGF-βシグナル伝達経路におけるNLKの新たな機能を解明した。 STAT3はJAK/STATシグナル伝達経路を構成する転写因子であり、JAKキナーゼによってチロシン残基がリン酸化されると核へ移行して標的遺伝子の発現を誘導する。一方、STAT3のC末端側領域に存在するセリン残基はそれ自身の転写活性能を制御しているという知見はあったものの、その生理的な意義は不明であった。今回我々は培養細胞においてNLKがTAK1の下流でSTAT3のセリン残基を直接リン酸化する事を示した。また、Xenopus胚において、TAK1、NLK、STAT3がTGF-βファミリーリガンドが制御する中胚葉誘導に関与している事、その際NLKによるSTAT3のセリン残基が必要である事も証明した。さらに、NLKがTGF-βファミリーリガンドであるactivinによって活性化される事もわかった。これらの結果より、生体内においてTGF-βファミリーシグナル因子の下流でTAK1-NLK-STAT3というシグナル伝達経路が機能して中胚葉誘導を行っているという、TGF-βシグナル伝達経路におけるNLKの新たな機能を明らかにした。
|