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2003 年度 実績報告書

多機能因子Id2による分化と形質発現の制御機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15390102
研究機関福井大学(医学部)

研究代表者

横田 義史  福井大学, 医学部, 教授 (50222386)

キーワードId2 / 乳腺 / B細胞 / サイクリン / 腸上皮間リンパ球 / 遺伝子欠損マウス / 水腎症
研究概要

MyoDを始めとしたbasic helix-loop-helix(bHLH)型転写因子が様々な系列の細胞分化や機能発現に重要な役割を担っているが、こうしたbHLH型転写因子の機能を蛋白質レベルで抑制的に制御するのが分化抑制因子Id(inhibitor of DNA binding/differentiation)である。哺乳動物でこれまでに同定されている4種類(Id1〜Id4)のうちId2は、ナチュラル・キラー(NK)細胞を始めとした免疫担当細胞の分化制御と機能制御、妊娠に伴う乳腺上皮細胞の増殖と分化などに関わっていることが判明している。本研究はId2の機能解析をとおして生体における細胞の分化の調節と形質発現の制御機構を分子レベルで解明していくことを目的としている。本年度に得られた成果は以下のとおりである。
1)Id2欠損マウスでは腸管のリンパ球、特に胸腺由来の腸上皮間リンパ球が著明に減少しており、腸粘膜バリアーの損傷により容易に致死的な感染症を来すことが明らかになった。この原因の少なくとも一部は、リンパ球における接着分子の発現低下による。
2)B細胞の免疫グロブリンのクラススイッチに重要な役割を果たすAIDの遺伝子発現にはPax5が関与しており、Id2はこのPax5の機能発現を抑制的に制御していることが判明した。
3)Id2欠損マウスにみられる乳汁分泌不全は乳腺上皮細胞でのサイクリンD1の異所性過剰発現によっても回復せず、Id2はサイクリンD1の機能的な下流因子ではないと考えられた。一方、サイクリンD1の異所性過剰発現によって生ずる乳腺上皮細胞の過形成はId2遺伝子の欠損により消失し、Id2はサイクリンD1のエフェクター分子である可能性が示唆された。
4)Id2欠損マウスはヒトのものに類似した先天性水腎症を発症することが明らかになった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Mori S.et al.: "Forced expression of cyclin D1 does not compensate for Id2 deficiency in the mammary gland"FEBS Letters. 551. 123-127 (2003)

  • [文献書誌] Gonda H. et al.: "The balance between Pax5 and Id2 activities is the key to AID gene expression"J.Exp.Med.. 198. 1427-1437 (2003)

  • [文献書誌] Nambu Y. et al.: "Transcription-coupled events associating with immunoglobulin switch region chromatin"Science. 302. 2137-2140 (2003)

  • [文献書誌] Kim J.-K.et al.: "Impairment of intestinal intraepithelial lymphocytes in Id2 deficient mice"Gut. 53. 480-486 (2004)

  • [文献書誌] Jang M.-H.et al.: "Intestinal villous bacteria translocation islands : a new antigen entry site in the mucosal epithelium"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. (in press). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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