研究課題/領域番号 |
15390113
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
遠藤 文夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (00176801)
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研究分担者 |
中村 公俊 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (30336234)
足立 尚登 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (00264292)
山本 哲郎 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (60112405)
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キーワード | アポトーシス / 発癌 / 細胞移植 / 幹細胞 / 内胚葉 / DNAチップ / 遺伝性疾患 |
研究概要 |
細胞障害機序、発癌機序、および細胞治療の研究を実施した。 (1)細胞障害の機序の検討においては、まず急性障害モデルとしてのアポトーシスを惹起する条件下における遺伝子発現異常の解析をすすめた。これまでのDNAチップを用いた網羅的検討において、アミノ酸代謝系、糖代謝系、凝固系などの肝細胞特異的・発達特異的遺伝子の発現がアポトーシス刺激によって速やかに低下することが判明している。今回は、これらの遺伝子変化を定量的RNA分析で詳細に検討し、このモデル系における細胞障害時の遺伝子発現変化の解析をすすめた。これにより代謝産物による細胞障害時の遺伝子発現を系統的に解析しているところである。 (2)発癌の機序の検討では慢性障害を惹起する条件下において遺伝子発現の異常を観察した。これまでの検討によって慢性障害を誘導したモデル肝臓においてはアポトーシスに対する抵抗性を細胞が獲得していることが判明し、アポトーシス抵抗性と染色体不安定性の双方がこのモデルの発癌に関与している可能性があることがわかっており、今回は慢性障害時の遺伝子変化の観察をDNAチップを用いて行い、上記の変化に関連する遺伝子の変化を網羅的に観察した。急性障害においては上述のようにアポトーシス関連遺伝子と修復系遺伝子は複雑に変化することが判明している。この研究によって、このモデル系における慢性障害からの遺伝子変化と発癌進行との関連についてさらに今後検討を加える。 (3)細胞移植による治療の研究においては我々が同定した唾液腺由来内胚葉系幹細胞を利用した治療実験を行った。これまでの検討で内胚葉系幹細胞は試験管内での条件を変化させることでアルブミン産生細胞として増殖することが可能になっているので、今回はモデルマウスから採取した唾液腺由来幹細胞を用い、肝細胞への分化誘導を行い、細胞移植実験をすすめた。 本研究においては次年度これをさらに発展させ、細胞障害時における遺伝子発現の変化をさらに広範囲に観察するとともに、治療の研究においては内胚葉系幹細胞を同定し、その応用の研究をすすめる。
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