研究概要 |
SAGE法を用いた消化管癌における網羅的遺伝子発現解析の内、5種類の胃癌についてSAGE解析を行い、38,903個のユニークtagを含む137,706発現tagを同定、世界最大のSAGEライブラリーを完成した(GEO accession number : GSE545)。胃癌と正常胃粘膜のライブラリーの比較及び定量的RT-PCR法により、APOC1,CEACAM6,YF13H12が高頻度に高発現し、早期癌と進行癌、原発巣と転移巣の比較から、FUS,CDH17,COL1A1,COL1A2,APOEが悪性度と相関することが確認された。さらに、胃癌特異的発現遺伝子候補をリストアップし、定量的RT-PCR法による実際の発現解析により、少なくとも8遺伝子が特異的に発現することを見い出した。SAGE法で抽出された遺伝子に、既知の癌関連遺伝子及び薬剤感受性のマーカー遺伝子を合わせた475遺伝子について、オリゴDNAアレイ(Ex-STOMACHIP)を作成、20例の胃癌組織について遺伝子発現を解析し、深達度、転移、組織型等を判別する有意な遺伝子群を抽出した。これらについて、定量的RT-PCR法にて多数症例について発現を検討し、発現レベルと臨床病理学的事項との関連を検証した。遺伝子多型解析については、約500例の血液DNA及び正常組織DNAを収集し、HER2やMMP-1などの既知遺伝子の多型と発癌や進展のリスクとの関連を明らかにした。さらに、SAGE法で新規に同定した胃癌で発現が抑制されている遺伝子CLDN18の5'UTRにG/AのSNPが存在することを見い出した。胃癌症例と健常対照症例におけるジェノタイプ解析を行ったところ、A/G及びG/G型が胃癌症例で有意に高頻度であり、ORは5.17(95%CI:2.01-13.3)であった。
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