研究概要 |
1.実験動物の維持と供給(下川):施設内において、成長ホルモン(GH)-インスリン様成長因子(IGF)-1抑制ラット、カロリー制限(CR)ラットを維持し、各研究者へ提供した。新たな動物モデルとして転写因子FoxO1ノックアウトマウスを導入した。 2.インスリンシグナル分子の解析(樋上):CRおよびGH-IGF-1抑制ラットでは、耐糖能は改善するが、糖負荷後のインスリンの分泌が減弱し、肝臓、骨格筋におけるインスリンの受容体のリン酸化も有意に起こらなかった。しかしながら、下流のAktの活性化は起こっていた。現在、インスリン非依存性シグナル経路の解析を行っている。 3.ストレス応答(下川):CRやGH-IGF-1抑制によるストレス応答の増強のメカニズムを明らかにするために、炎症刺激による遺伝子発現解析、熱ショック蛋白質や小胞体シャペロン等の誘導プロファイルを解析しつつ、FoxO1-KOマウスを用いて酸化ストレスに対する反応を検討した。CRでは、Fox01の発現が増加していた。酸化的ストレスに対するearly response gene (jun-b,c-fos)の発現解析では、Fox01の低下の影響はなかった。 4.ミトコンドリアにおけるエネルギー代謝とストレス応答の相違(千葉):ミトコンドリアのbioenergeticsに関連する重要な転写因子として考えられるFoxO1と関連するPGC-1alphaについて、KOマウス、アンチセンスオリゴを投与して発現を抑制する実験を行ったが、現時点ではin vivoにおいて有意な結果を得ていない。 5.バイオインフォーマティックス(研究協力者、HY Chung):3で得られた遺伝子発現データを用いて、CRとGH-IGF-1抑制に共通に関連する転写因子の候補を同定した。現在、Western blot, ChIP assayなどによりその特異性を確認中である。
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