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2003 年度 実績報告書

細胞社会における細胞死制御機構としてのギャップ結合コミュニケーションの研究

研究課題

研究課題/領域番号 15390129
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

小山田 正人  京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (30183255)

研究分担者 小山田 ゆみ子  京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (40231245)
キーワードギャップ結合 / コネキシン / アポトーシス / 紫外線 / ミトコンドリア / caspase
研究概要

ギャップ結合細胞間コミュニケーションが、多数の細胞から構成される細胞社会において、どのように細胞死に関与するかは不明である。本研究では、ギャップ結合の細胞死における役割を解明するための基礎データとして、細胞死の代表のひとつである紫外線で誘導されるアポトーシスの過程で、ギャップ結合蛋白質コネキシンがどのような局在の変化を起こすかを解析した。
コネキシンの局在を生きた細胞で可視化するために、コネキシン43(Cx43)と蛍光蛋白質EGFPとの融合遺伝子をHeLa細胞に導入して得られた細胞株Cx43-EGFP HeLa細胞を用いた。254nmの紫外線を180mJ/cm^2の強さで細胞に照射した。アポトーシス初期の指標として、ミトコンドリア膜電位の喪失を可視化するため、tetramethylrhodamine ethyl ester (TMRE)を用いた。一方、アポトーシス後期の指標として、核の断片化をHoechst 33342による染色で解析した。
紫外線照射後2時間では、約1/3の細胞がTMRE陰性でミトコンドリア膜電位の喪失を示したが、これらの細胞間にも、TMRE陽性細胞間と同様に、線状の長いCx43-EGFPギャップ結合プラークが存在していた。紫外線照射後4時間では、TMRE陰性のミトコンドリア膜電位喪失細胞が増加し、それらの細胞ではCx43-EGFPギャップ結合プラークが断片化し、びまん性な細胞質への局在が目立った。紫外線照射後8時間では、TMRE陰性のミトコンドリア膜電位喪失細胞が核の断片化を示し、Cx43-EGFPの細胞質の局在も減少していた。細胞をCaspase阻害剤であるZ-VAD-FMKで処理することによって、ミトコンドリア膜電位の喪失や核の断片化だけでなく、Cx43-EGFPギャップ結合プラークの断片化も部分的に抑制された。
以上の結果より、紫外線で誘導されるアポトーシスの過程で、ギャップ結合プラークの断片化と細胞質への局在の変化が、ミトコンドリア膜電位の喪失よりも後で、しかし核の断片化より先行して、起こることを明かにした。さらに、これらのアポトーシスにおける変化に、caspaseが関与していることが示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Naito, A.T.et al.: "Early stage-specific inhibitions of cardiomyocyte differentiation and expression of Csx/Nkx-2.5 and GATA-4 by phosphatidylinositol 3-kinase inhibitor LY294002"Exp.Cell Res.. 291. 56-69 (2003)

  • [文献書誌] Hirakawa, H.et al.: "Loss and recovery of the blood-nerve barrier in the rat sciatic nerve after crush injury are associated with expression of intercellular junctional proteins"Exp.Cell Res.. 284. 194-208 (2003)

  • [文献書誌] Suzuki, T.et al.: "Expression of gap junction protein connexin43 in the adult rat cochlea. Comparison with connexin26"J.Histochem.Cytochem.. 51. 903-912 (2003)

  • [文献書誌] Tsujii, E.et al.: "In situ visualization of the intracellular Ca^<2+> dynamics at the border of the acute myocardial infarct"Mol.Cell.Biochem.. 248. 135-139 (2003)

  • [文献書誌] Hirakawa, H.et al.: "Regional differences in blood-nerve barrier function and tight-junction protein expression within the rat dorsal root ganglion"NeuroReport. 15. 405-408 (2004)

  • [文献書誌] 小山田ゆみ子他: "心筋症の遺伝子異常と病態発生"病理と臨床 臨時増刊号『病理診断における分子生物学』. (印刷中). (2004)

  • [文献書誌] Oyamada, M.et al.: "Regulation of gap junction protein genes in differentiating ES cells, in Embryonic Stem Cells (Lanza, R.ed)"Academic Press(印刷中). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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