我々はマウスを用いた解析から、若齢時にはCD4^+CD25^+T細胞にのみ認められていた免疫抑制機能が、老齢時にはCD4^+CD25^+T細胞のみならずCD4^+CD25^-細胞にも認められるようになることを報告している。更に、老齢CD4^+CD25^-T細胞の抑制機能をより小さな亜集団に帰属することが可能か検討したところ、Rhodamine-123(R123)で弱陽性に染まるR123^<1o>細胞分画に強い抑制機能を認めた。またCD4^+CD25^-R123^<1o>T細胞の約5%を占めるCD103^+細胞が、最も強い抑制機能を呈すことを明らかにした。この老齢CD4^+D25^-R123^<1o>CD103^+T細胞は、加齢に伴いその数・割合が増加していた。次に、老齢CD4^+CD25^-R123^<1o>CD103^+T細胞の免疫抑制機能を阻害する単クローン抗体を樹立した。意外なことに、本抗体はCD4^+CD25^+T細胞の免疫抑制機能をも阻害し得た。従って、本抗体の認識分子は免疫抑制機能を有す細胞に共通した機能制御分子である可能性が考えられる。本抗体の認識分子は、質量分析等の解析からCD45分子であることが確認できた。既に樹立されている7種類の抗CD45単クローン抗体について上記抑制機能を制御し得るか検討したが、何れにもその活性は認められなかった。我々の樹立した抗体が、抑制性細胞に作用し、またCD45分子を架橋することが、抑制機能の解除に繋がることを確認した。
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