研究課題
ブタ免疫関連遺伝子単離と構造解析ならびに機能解析を通じてブタ免疫システムの特徴を明確にし、その制御法開発を通じて、医用応用を目指した免疫不全ブタを作成することを目的として研究を行った。免疫不全ブタの作成は米国研究者との共同研究として進行中で、ブタ胎仔由来線維芽細胞で片方アレルでのrag1遺伝子破壊繊維芽細胞を確立し、これを用いたクローンブタ作出を試みている。ブタ末梢血Tリンパ球から作成したcDNAライブラリーからPre-TCRα鎖遺伝子を単離し、その全cDNA配列を決定した。そのcDNAの翻訳領域は、684塩基からなり、Pre-TCRα鎖が228アミノ酸から構成されていることが示された。翻訳領域の塩基配列レベルでのヒトとの相同性は70%であった。アミノ酸レベルの相同性は68%であった。同様に、ヒトとマウスとの相同性は、塩基レベルで77%、アミノ酸レベルで76%であることから、ヒト-マウスの遺伝的近縁度はヒト-ブタのそれより高いと判断される。ブタ血球に対するモノクローナル抗体作成については、T細胞抗原受容体δ鎖(TCRδ)のコモンフレームワークに対する抗体7G3を樹立した。また、ブタクラスI主要組織適合抗原(Class I MHC)α鎖を認識する抗体4G8を樹立した。いずれの抗体も、フローサイトメトリーによるリンパ球サブセット解析、ならびにブタ免疫関連臓器の免疫組織科学的解析に有用性が高いことを確認した。さらに、GPIアンカー型蛋白に対する抗体等が得られており現在詳細検討を行っている。免疫不全ブタ作成をより効率的に行うために、SiRNAによる遺伝子発現抑制を目指したベクター開発を開始した。
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