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2003 年度 実績報告書

マンソン住血吸虫の排泄系上皮細胞膜ポンプの生化学機構と薬剤抵抗性獲得における役割

研究課題

研究課題/領域番号 15390134
研究機関弘前大学

研究代表者

佐藤 宏  弘前大学, 医学部, 講師 (90211945)

研究分担者 古岡 秀文  帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (60238665)
神谷 晴夫  弘前大学, 医学部, 教授 (70002079)
長内 理大  弘前大学, 医学部, 助手 (30361009)
キーワードマンソン住血吸虫 / 排泄系 / P-gp / MRP / エキノコックス / 薬物 / 扁形動物 / 蛍光性基質
研究概要

扁形動物は、原始腎(protonephridium)と呼ばれる排泄系を有している。この器官は、炎細胞を起点とし、単層上皮に囲まれた分枝管系が徐々に集合して、体外に通ずる排泄孔に集まるかたちをとり、体内の不要代謝産物や拡散により体内に入った不要物(例えば、薬物など)を体外に排出する役割を有していると考えられる。寄生性扁形動物である吸虫や条虫において、駆虫剤の体外への排泄はその効力に大きく関わってくる重要な点であるが、これが実際に排泄系を通して行われているのか、行われている場合にはどのような生化学的な機構によるのかという点については情報を欠いていた。我々の研究は、マンソン住血吸虫と多包条虫を研究対象として、寄生性扁形動物排泄系が果たす役割を明らかにすることを目的としている。扁形動物排泄系上皮の細胞膜ポンプとして、上皮P-gp(P-glycoprotein)とMRP(multi-drug resistance-associated protein)の存在を推測し、それぞれに特異的な基質であるresorufinおよびfluo-3を用いて、この推測の妥当性を検証した。これらの基質に暴露したマンソン住血吸虫あるいは多包条虫は、単純拡散によりこれらの蛍光物質を体内に取り入れるが、時間経過とともに、蛍光物質は排泄系に集まり、排泄孔から体外に排出された。この観察結果の検証として、それぞれの基質に対する競合剤に虫体を前もって暴露すると、蛍光物質の排泄は起こらなかった。このことから、寄生性扁形動物排泄系上皮にP-gpならびにMRP相同分子の表出があり、これらがある種の物質の体外排泄に重要な役割を果たしていることが初めて実証された。また、P-gpならびにMRP相同分子の表出は、寄生虫の発育ステージにより、その表出が大きく異なることが確認されている。これら分子の生化学的、分子生物学的な特徴づけを現在行っている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Sato H, Kusel J R, Thornhill J: "Functional visualization of the excretory system of adult Schistosoma mansoni by the fluorescent marker resorufin"Parasitology. 125(6). 527-535 (2002)

  • [文献書誌] Sato H, Kusel J R, Thornhill J: "Excretion of fluorescent substrates of mammalian multidrug resistance-associated protein (MRP) in the Schistosoma mansoni excretory stystem"Parasitology. 128(1). 43-52 (2003)

  • [文献書誌] Al Adhami B H, Thornhill J, Akhkha A, Doenhoff M J, Kusel J: "The properties of acidic compartments in developing schistosomula of Schistosoma mansoni"Parasitology. 127(3). 253-264 (2003)

  • [文献書誌] Tan H H, Thornhill J A, Al Adhami B H, Akhkha A, Kusel J: "A study of the effect of surface damage on the uptake of Texas Red-BSA by schistosomula of Schistosoma mansoni"Parasitology. 126(3). 235-240 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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