研究課題/領域番号 |
15390135
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
矢野 明彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20135122)
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研究分担者 |
青才 文江 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (80150316)
野呂瀬 一美 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30156244)
岩倉 洋一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10089120)
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キーワード | トキソプラズマ / TgHSP70 / Toll-like receptor / 自然免疫と獲得免疫 / B-1エフェクター細胞 / 全身性エリトマトーデス / B-2抑制性細胞 / ループス腎炎 |
研究概要 |
トキソプラズマ感染に対する免疫反応の主役は従来よりT細胞と言われてきた。我々は、B細胞がトキソプラズマ感染に対する免疫応答に重要な役割を演じることを明らかにした。B細胞はB-1およびB-2サブセットに区分される。B細胞欠損マウスであるμMTマウスおよびIFN-γ欠損マウスを用いた研究の結果、B-1細胞は防御免疫を担う一方で、B-2細胞は防御免疫を抑制することが示された。さらに、B細胞の活性化分子としてトキソプラズマ由来ストレス蛋白HSP70(TgHSP70)であり、Toll-like receptor4(TLR4)依存性MyD88非依存性シグナル系による活性機序によることが明らかになった。TgHSP70はトキソプラズマ急増虫体に発現される毒性分子であるが、トキソプラズマ感染により誘導されたマクロファージのNO産生を抑制することが示された。このTgHSP70によるNO産生抑制はTLR2依存性シグナルで惹起されることが示された。さらに、自己免疫疾患全身性エリテマトーデスのマウスモデルである(NZBx NZW)F1マウスにトキソプラズマを感染させるとその発症が抑制されることが示された。トキソプラズマ感染により抗DNA自己抗体産生が抑制され、蛋白尿の改善、ループス腎炎発症が抑制されることが示された。さらにはTLR2欠損マウスでは免疫複合体沈着による腎炎を発症することが明らかになった。これらの結果から、トキソプラズマの毒性分子TgHSP70はTLR2およびTLR4に対するligandとして機能しB細胞による抗HSP70自己抗体産生誘導やマクロファージによるNO産生統御、さらには自己免疫発症の統御や腎炎発症を制御することが示され、トキソプラズマ由来TgHSP70に対する自然免疫に機能するTLRとB細胞の抗体産生による獲得免疫がトキソプラズマ症の病態形成に重要な役割を演じていることが示された。
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