研究概要 |
原虫の感染系で「宿主寄生体相互関係」の解析およびそれらの病原体に対する遺伝子ワクチンの解析に携わってきた。その結果それらの病原体に対する防御免疫にはCD8^+T細胞を中心とした細胞性免疫が必須の関わりを持つこと、その免疫誘導には原虫抗原遺伝子とユビキチン遺伝子の融合遺伝子を用いた遺伝子免疫が最も効果的であることを報告してきた。更に我々は赤血球内寄生原虫であるマラリア原虫感染においても上記の細胞内寄生原虫と類似した「宿主寄生体相互関係」が存在し、それに対する宿主防御免疫がCD8^+T細胞を中心とした細胞性免疫が必須であることを解明した。現在は申請者がマラリア原虫の肝臓内型抗原遺伝子(CSP)と赤血球内型抗原遺伝子(MSP1)を各々ユビキチン遺伝子と融合させた後、両遺伝子の結合(キメラ)遺伝子を作成し、そのキメラ遺伝子を用いたDNAワクチンの開発研究を既に開始している。 近年、田中らによりペプチド抗原をユビキチン化することによりその抗原がプロテアソームでプロセッシングを受け、必然的にMHCクラスI分子に提示され、抗原特異的CD8^+T細胞が誘導されることが証明された(Immunol.Rev. 163:16~76,1998)。---この経路はユビキチンプロテアソーム経路と呼称されている。当研究室では上記知見を基盤とし、細胞内寄生病原体であるトキソプラズマ,クルーズトリパノソーマ、ネズミマラリア・結核菌等の遺伝子とユビキチン遺伝子の融合遺伝子を構築し、各々の原虫に特異的なCD8^+T細胞を強力に誘導するフユージョンDNAワクチンを開発してきた。
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