研究課題/領域番号 |
15390153
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
鶴見 達也 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍ウイルス学部, 部長 (90172072)
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研究分担者 |
大黒 徹 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍ウイルス学部, 主任研究員 (80291409)
磯村 寛樹 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍ウイルス学部, 主任研究員 (20294415)
白田 典子 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍ウイルス学部, リサーチレジデント (90416165)
岩堀 聡子 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍ウイルス学部, リサーチレジデント (80416164)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | EBウイルス / MCM / リン酸化 / CDK2 / ウイルスキナーゼ / 染色体複製 / ヘリカーゼ |
研究概要 |
EBV溶解感染を誘導すると宿主細胞内ではEBVゲノムは100倍から1000倍増幅複製される。このウイルスDNA合成を宿主細胞はDNA損傷即ち異常DNAとみなしATM依存的DNA損傷チェックポイント経路を活性化することを明らかにした(Kudoh A et al. J.Biol.Chem. 280:8156-8163.2005)。この現象は単純ヘルペスウイルス感染でも同じ現象がおきることも明らかにした(Shirata N, et al. J.Biol.Chem. 280:30336-30341. 2005)。しかしATM依存的DNA損傷チェックポイント経路の活性化はp53の活性化をおこすが、p53及びp53の下流のp21、MDM2の発現量の増加はなく、p53の下流の経路は活性化されていなかった。これはウイルスBZLF1蛋白質がp53の機能をブロックすることで細胞周期停止や細胞死の誘導をおさえていること、またその分子機構もわかってきた(manuscript in preparation)。これまでEBV溶解感染を誘導した細胞はS期様環境を維持したまま宿主DNA複製が抑制され細胞周期停止を引き起こすことを明らかにしてきた(Kudoh et al. J.Viol. 77:851-861.2003,Kudoh et al. J Virol.78:104-115.2004)。その分子機構はどうなっているのか?その分子機構の一つの機序として溶解感染を誘導すると染色体複製開始及び複製伸長に関与するMCM複合体のリン酸化がおきることがわかった。通常、S期にはいるとMCM4はCDK2によりリン酸化され、MCM4のリン酸化はMCM複合体のHelicase活性の不活化をもたらすが、溶解感染誘導後CDK2特異的リン酸化部位(Thr-19,Thr-110)がリン酸化されることが判明した。EBV溶解感染誘導はCDK2活性の高い環境になり、CDK2がMCM4のリン酸化を行っていると思われるが、さらにこのリン酸化はEBVB6LF4蛋白質キナーゼによってin vitroでもHeLa細胞での単独発現系でも起きることが明らかとなった。さらに、MCM4-6-7から構成される6量体の持つDNAヘリカーゼ活性はBGLF4蛋白質共存在化では著しく抑制されることから、EBV溶解感染期にはCDK2およびBGLF4蛋白質がMCM複合体をリン酸化しMCM複合体のヘリカーゼ活性を不活化することが、宿主染色体DNAの再複製開始および複製伸長を阻害する一つの機構であることが示唆された(Kudoh et al. J.Biol.Chem. in press)。
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