研究課題
CD22はシグレックファミリーの1つでa2,6シアル酸に特異的に結合する。また、CD72はC型レクチン様ドメインを持つ膜分子である。CD22およびCD72分子は細胞内領域に抑制性チロシンモチーフ(ITIM)を持つ。これらの膜型レクチン分子はB細胞に発現し、フォスファターゼSHP-1を活性化することによりBCRシグナル伝達を負に制御する。我々は、CD22がナイーブB細胞の発現するIgM-BCRやIgD-BCRを介するシグナルを負に制御するが、記憶B細胞の発現するIgG-BCRを負に制御しないことを明らかにし、記憶免疫応答の際の迅速なB細胞活性化に関わることを示唆した。そこで、今年度は、CD22およびCD72がIgA-BCRおよびIgE-BCRを制御するか検索し、CD72は免疫グロブリンクラスに関わらずBCRシグナルを負に制御するが、CD22はIgA-BCRシグナル伝達を負に制御するが、IgE-BCRシグナル伝達は制御しないことを明らかにした。これらの結果は、IgE陽性B細胞は記憶応答の1つとして、抗原刺激に迅速に反応するが、IgA陽性B細胞は、抗原に迅速には反応せず、より構成的に抗体産生をおこなうことを示唆している。また、我々は、CD72の生体内での機能を解析するため、CD72シグナル変異体遺伝子ノックインマウス樹立用のコンストラクトを作成し、変異ES細胞を樹立した。また、CD72の構造と機能を解明するために、可溶CD72分子用のコンストラクトを作成し、ミエローマ細胞や大腸菌を用いて組み換えタンパクを作成した。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (3件)
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