研究概要 |
CD22はシグレッグファミリーの1つでa2,6シアル酸に特異的に結合する。また、CD72はC型レクチン様ドメインを持つ膜分子であり、ともにBリンパ球で発現し、B細胞抗原受容体シグナルを負に制御する。我々は、CD22のシグナル変異体の作成を行い、これらを用いたCD22のシグナル機能についての解析を行った。CD22の細胞内領域には6つの保存されたチロシン残基があり、そのうち3つは抑制性チロシンモチーフ(Immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif : ITIM)を構成する。CD22のITIMはチロシンフォスファターゼSHP-1と会合し、SHP-1を活性化することにより、B細胞の活性化を負に制御する。我々は、CD22の種々のITIMのチロシン変異体を作成し、その機能を解析することにより、CD22のチロシン783(Y783)が、他のチロシンのリン酸化にとって重要な役割を果たすこと、さらに、このチロシンを含むITIM単独でB細胞活性化制御に十分であることを明らかにし、このチロシンがCD22の機能にとって重要な役割を果たすことを明らかにした。また、昨年度我々は、IgE抗原受容体(IgE-BCR)は、そのシグナル伝達がCD22によるシグナル抑制を受けないために、強いB細胞活性化能を持つこと、一方、IgA-BCRはCD22によるシグナル抑制を受けるためにIgM-BCRと同程度のシグナル機能しかないことを明らかにしたが、このようなCD22によるシグナル抑制の有無が膜型IgEおよびIgAの細胞内領域によって決まることを明らかにした。これらの知見は、膜型レクチン分子の機能の解明と、これらの分子を標的にしたB細胞機能制御法の開発に重要である。
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