研究概要 |
1.記憶B細胞特異的膜蛋白および分泌性蛋白遺伝子のクローニングを行い、記憶B細胞で発現増強する遺伝子5260,5410,7053,8472,7053を特定した。これらのうちの一つがCCL3,CCL4などの炎症性ケモカインの受容体であるD6であることが明らかとなった。D6は記憶B細胞の他、辺縁帯B細胞に発現し、後者はCCL3,CCL4の受容体であるCCR1も発現している。CCL3、CCL4は辺縁帯B細胞に結合し、細胞によって吸収されるにもかかわらず、これらの細胞のCCL3、CCL4に対する遊走性は抑制されていることが明らかとなった。他の遊走性因子に対する記憶B細胞の走化性を検討したところ、記憶B細胞が、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)に対する遊走性を辺縁帯B細胞と同程度に示すことが明らかにした。さらに辺縁帯B細胞のS1Pに対する走化性はCCL4の作用によって増強することを明らかにした。 2.記憶B細胞に高発現する新規遺伝子3940の性状を明らかにした。この遺伝子はERK6と相同性を有し、B細胞系列において記憶B細胞及び辺縁帯B細胞のみに高発現する。この遺伝子の発現が認められないB細胞株に強発現すると種々のアポトーシス培養条件下での細胞死に抵抗性を賦与することが明らかにされた。この機序を明らかにする目的で、プロテオミクの手法を用い結合蛋白質の同定を行い、この結果、inportinβ3及びPRMT6が同定された。
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