初年度は以下の作業ならびに研究を行った。 1)C型慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌の患者データベースの更新と精緻化 山口大学医学部附属病院に1995年〜96年にかけて入院したC型慢性肝炎患者(308名)および1996年以降に肝細胞癌と診断され入院となった患者(153名)のデータベースの精緻化ならびに継続更新を行った。前者によりC型慢性肝炎患者をコホートとした外来費用の算定、続発症による入院の頻度ならびに入院費用の算定を、後者により肝細胞癌スクリーニングによる効果をレテロスペクティブに評価を行うベースとするものである。 2)費用算定データベースの構築と病院情報システム連携 本研究のコストデータは診療報酬をベースとしていることから、病院情報システムの汎用大型コンピュータに蓄積された患者毎の日々の診療行為明細と会計明細データをWindowsベースのPCサーバヘダウンロードできるようにPCデータベースの構築とプログラム作成を行った。データフォーマットは国立大学附属病院の管理会計システムの共通ソフトに準拠し、汎用性を持たせた。 3)肝細胞癌のスクリーニング効果の初期検討 肝細胞癌で入院となった患者における癌発見時の腫瘍径とその後の生存率を求める初期検討を行った。その結果、解析可能例43例中、定期フォローアップ群24例、非定期フォローアップ群19例で、発見時の腫瘍径はそれぞれ、平均19.6(7〜50)mm、平均33.9(10〜110)mmであった。さらに50%生存期間はそれぞれ49ヵ月、34ヵ月であった。今後、さらに症例を増やして検討を行う。 4)C型慢性肝炎における自然歴の文献的検討 C型慢性肝炎の自然歴、およびインターフェロン後の予後についての国内外の論文をMEDLINEや医学中央雑誌などの文献データベースの情報をもとに集積し、C型慢性肝炎のマルコフモデルにおける遷移確率を求めた。
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