研究課題/領域番号 |
15390170
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
星野 洪郎 群馬大学, 医学部, 教授 (00107434)
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研究分担者 |
田中 淳 群馬大学, 医学部, 教務員 (20321953)
大上 厚志 群馬大学, 医学部, 講師 (80260107)
清水 宣明 群馬大学, 医学部, 講師 (70261831)
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キーワード | オーファンレセプター / GPCR / HIV-1 / コレセプター / リガンド |
研究概要 |
リガンド未同定の受容体(オーファンレセプター)の本来のリガンドを同定することは、医薬品の開発を面で貴重な情報を提供する研究と考えられている。中でも、G蛋白質共役レセプター(GPCR)に属するオーファンレセプターは、多数知られており、今後の医薬品開発の標的としては、最も重要であると考えられている。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とサル免疫不全ウイルス(SIV)は、GPCRをコレセプターとして細胞に感染する。我々は、オーファンGPCRであるGPR1およびRDC1が、特定のHIV/SIVのコレセプターとして機能することを見出した。特に、GPR1がHIV-1の脳血管周細胞指向性決定コレセプターであることを見出した。本研究では、HIV/SIVの感染阻害を指標として、リガンド未同定のGPCRの本来のリガンドを同定することを目的とする。 1.RDC1発現細胞の樹立 発現ベクターpMX-puroにクローニングしたRDC1遺伝子を、レトロウイルスベクターを用いてNP-2/CD4細胞に導入し、ピューロマイシン選択により安定発現細胞を樹立した。この細胞は、HIV/SIVに対して感受性となったが、その程度は余り高くなく、感染実験の実施に不自由な点がある。 2.MuLV感染によるRDC1コレセプター活性の上昇 Ecotropic(同種指向性)、あるいはamphotropic(両種指向性)MuLVの感染によって、RDC1を導入したヒトグリオーマ由来CD4陽性細胞株NP-2/CD4(NP-2/CD4/RDC1)のHIV/SIV感受性が上昇した。この結果は、RDC1のコレセプター活性を増強させるMuLV関連因子の存在を示唆する。 この系を用いることで、RDC1のコレセプター活性をより正確に定量でき、そのリガンド同定の研究にも有用と思われる。 3.GPR1の点突然変異体の作成 コレセプター機能には、アミノ末端細胞外突出領域が重要であり、リガンドのGPCRへの結合でも同じ領域が重要である可能性が高い。GPR1のアミノ末端配列に欠失や置換変異を系統的に導入して活性の変化を解析し、コレセプター活性に重要な領域を同定した。 4.GPCRの系統関係の解析 現在までに約700種類のGPCRの遺伝情報が報告されている。近縁のリガンドに対するコレセプターは、レセプターとしても系統関係が密接である可能性が高い。GPR1は、細菌由来のペブチドであるformyl-peptideのreceptorと近縁であることが明らかとなった。一方、RDC1は、adrenomedullinの受容体と近縁であった。 5.コレセプター候補オーファンGPCRのクローニング 今までの解析から、GPR15、DEZなどが、オーファンGPCRであり、かつHIV/SIVのコレセプアターとなるので、新規にクローニングした。今後、GPR1やRDC1と同様にそのリガンドの同定を検討する予定である。
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