• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2005 年度 実績報告書

薬物依存の遺伝子治療及び予防法の開発の試み

研究課題

研究課題/領域番号 15390175
研究機関川崎医科大学

研究代表者

大熊 誠太郎  川崎医科大学, 医学部, 教授 (30152086)

研究分担者 桂 昌司  川崎医科大学, 医学部, 講師 (80204452)
渡辺 悟  川崎医科大学, 医学部, 講師 (90069055)
キーワード薬物依存 / 高電位開口性カルシウムチャネル / methanphetamine / ethanol / ryanodine受容体 / CPP
研究概要

平成17年度においては、平成15及び16年度に行った研究に引き続き、依存性薬物による薬物依存形成機序の解明のために、methanphetamine(MET)及びcocaineによる精神依存とethanol、morphine、nicotineなどによる身体依存とについて、それぞれにおいて認められる高電位開口性カルシウムチャネル(HVCC s)のup-regulationの機序を依存動物(マウス)及び初代培養大脳皮質神経細胞を用い行動薬理学的及び神経化学的観点から検討を加えた。MET投与によるMETに対する嗜好性をconditioned place preference(CPP)法により検討したところ、L-HVCCs遮断薬はMETに対する嗜好性を消失させ、このときの中脳辺縁系を含む中脳と大脳皮質におけるL-HVCCサブユニットの発現には変化はみられず、[3H]diltiazemに対する結合親和性の増加のみが観察された。さらにマウス脳室内へのdantrolene投与によってもMETへの嗜好性は完全に消失し、かつ、L-HVCCs機能変化も消失した。神経細胞においてもMETの連続曝露はマウスの場合と同様の、L-HVCCs機能変化をもたらし、また、MET曝露後、fura-2を負荷した後に30mM KCl曝露により誘発されるCa oscillationは対照群に比して増強しており、かつryanodine曝露によっても著明なCa oscillationの増強がみられ、これらの変化はdantoroleneにより抑制された。これらの結果は、METによる精神依存の形成にはryanodine受容体を介したCa依存性Ca放出が精神依存発現に関与しているのみならず、L-HVCC機能変化を誘発することを示すと考えられる。同様に、身体依存形成を示すethanol依存マウスにおいて、投与初期ではL-HVCCサブユニットの発現には変化はみられず、[3H]diltiazemに対する結合親和性の増加のみが観察され、後期ではL-HVCCα1サブユニット発現増加と[3H]diltiazemに対するBmax値の増加がみられるが、ethanol曝露初期において脳室内にdantroleneを投与することによりMETと同様にL-HVCC機能変化が消失したが、後期にみられるL-HVCCα1サブユニット発現増加にはdantrolene投与は変化を与え、この変化はそのmRNA増加と関連していることが判明した。従って、身体依存にみられるL-HVCC機能変化の発現機序は精神依存でのそれとは明らかに異なっていると考えられる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Ethanol physical dependence is accompanied by up-regulated expression of L-type high voltage-gated calcium channel α1 subunits in mouse brain.2005

    • 著者名/発表者名
      Katsura, M. et al.
    • 雑誌名

      Brain Res. 1039

      ページ: 211-215

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Beneficial effect of hydroxyfasudil, a specific Rho-kinase inhibitor, on ischemia/reperfusion injury in canine coronary microcirculation in vivo.2005

    • 著者名/発表者名
      Yada, T. et al.
    • 雑誌名

      J.Am.Coll.Cardiol. 45

      ページ: 599-607

  • [雑誌論文] Chronic nicotine treatment upregulates L-type high voltage-gated calcium channels.2005

    • 著者名/発表者名
      Katsura, M., Ohkuma, S.
    • 雑誌名

      J.Pharmacol.Sci. 97

      ページ: 344-347

  • [雑誌論文] Increased expression of L-type high voltage-gated calcium channel al and α2/δ subunits in mouse brain after chronic nicotine administration.2005

    • 著者名/発表者名
      Hayashida, S. et al.
    • 雑誌名

      Brain Res.Mol.Brain Res. 135

      ページ: 280-284

  • [雑誌論文] アルコール長期曝露によるL型高電位開口性カルシウムチャネルの機能変化とその意義2005

    • 著者名/発表者名
      桂 昌司, 大熊誠太郎
    • 雑誌名

      日本アルコール・薬物医学会雑誌 40

      ページ: 205-212

  • [雑誌論文] 【アルコール依存症最近の話題】アルコール症の薬物療法2005

    • 著者名/発表者名
      大熊誠太郎, 桂 昌司
    • 雑誌名

      最新精神医学雑誌 10

      ページ: 375-381

  • [図書] 医科薬理学2005

    • 著者名/発表者名
      大熊誠太郎
    • 総ページ数
      739
    • 出版者
      南山堂

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi