研究課題/領域番号 |
15390180
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
小林 典裕 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (90205477)
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研究分担者 |
小山 淳子 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (60102109)
森田 いずみ 神戸薬科大学, 薬学部, 助手 (20299085)
後藤 順一 東北大学, 病院・教授 (80006337)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | 抗体 / 一本鎖Fvフラグメント / ファージディスプレイ / ファージ抗体 / 親和力 / 遺伝子工学 / cleavableビオチン / 選択法 |
研究概要 |
ランダム変異を導入した抗体-本鎖Fvフラグメント(scFv)の遺伝子群をファージ粒子上にディスプレイした"ファージ抗体ライブラリー"から、天然の抗体を上回る高い親和力を有し、超高感度イムノアッセイの確立に有用な変異抗ハプテン抗体を探索することが可能と期待される。しかし、固定化抗原に吸着させた後に抗原抗体反応を解離させる従来の回収法では、こうした高親和力抗体の獲得は極めて困難であった。この難点を解決するために、cleavableビオチン(CB)標識抗原を用いる新規なユニバーサル抗体選択法の開発を検討した。モデルハプテンとして11-デオキシコルチゾール(11-DC)、17α-ヒドロキシプロゲステロン、エストラジオールをとりあげ、本選択法のキー試薬であるCB標識体を合成した。これら化合物は、いずれも対応するファージ抗体とアビジンに同時に反応するうえ、ジチオスレイトール(DTT)処理によりステロイドとビオチンの間のジスルフィド(SS)結合が容易に切断され、期待通りの性質を有することが確認された。そこで、CB標識11-DC(CB-11-DC)を用いてファージ抗体選択の条件に検討を加えた。高親和力(Ka=1.3×10^<10>M^<-1>)の抗11-DC-scFvを提示するファージと(1R)-ブフラロール(光学活性なβ遮断薬で、11-DCとは全く異なる化学構造を有する)に対するscFvを提示するファージの混合物(混合比1:100,000)にCB-11-DCを反応させ、NeutrAvidin固定化チューブでビオチン基を捕捉した。DTT処理により遊離するファージを大腸菌に感染させ、形質転換菌の11-DC-scFv遺伝子保持率を算出するとともにファージのレスキューを行い、再びCB-11-DCとの反応に付した。本選択サイクルを5回繰り返すことにより、抗11-DC-scFv提示ファージを選択的に回収、増幅することに成功した。本法では抗原抗体反応の解離に依存することなくファージ抗体を回収するため、従来の選択法では単離が困難であった高親和力抗体も容易に得ることができる。本法の適用により、臨床診断指標として重要な各種のハプテンについて、超高感度なイムノアッセイを可能とする高親和力抗体を創製しうるものと期待される。
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