研究分担者 |
冨田 秀太 愛知県がんセンター, 分子腫瘍学部, 研究員 (10372111)
光冨 徹哉 愛知県がんセンター, 分子腫瘍学部, 研究員 (70209807)
樋田 豊明 愛知県がんセンター, 分子腫瘍学部, 研究員 (80250249)
矢田部 恭 愛知県がんセンター, 分子腫瘍学部, 研究員 (90280809)
|
研究概要 |
本年度の研究を通じて149症例における21,619遺伝子のmRNAレベルの発現プロファイル情報を得た。この網羅的遺伝子発現プロファイル情報は、転帰に関する臨床情報の精度や欠測データフラッグの少なさなど、種々の点で我々或いは他の研究者によるこれまでの研究に対して優位に立てる高い精度を備えており、現在遂行中のバイオインフォマティクス解析を通じてオーダーメイド医療の実現に寄与できる高いレベルの精度をもつ予後予測モデルの構築を可能とする基盤となるものである。さらに、外科手術後の生存可能性について、時間軸に対する信頼区間の概念を取り込んで予後予測するべく、臨床情報と発現プロファイル情報を組み合わせた予測法についての検討も進めており、予測プログラムの構築が進行中である。 一方、蛋白レベルの網羅的発現解析に基づく診断システムの構築に関しては、174例の肺非小細胞癌症例の新鮮凍結腫瘍組織切片からMALDI-TOF-MSを用いて、分子量2,000から20,000ダルトンの2,000を超える蛋白に対応するスペクトラデータの採取を完了した。現在、予後予測モデルの構築を目指したバイオインフォマティクス解析を鋭意遂行中である。なお、解析対象とした174症例はmRNAレベルの網羅的遺伝子発現解析研究に用いた149症例中の140症例を包含しており、mRNAと蛋白の両面から検討することによる分子診断システムの精度向上の可能性についても検討を加える予定である。さらに、本年度はMALDI-TOF-MSによる血清試料の網羅的蛋白発現解析の解析条件設定を進めた。今後、分子標的薬の治療反応性が明らかな血清試料などを用いた解析を進める予定である。また、多次元液体クロマトグラフィーと組み合わせたタンデムマススペクトロメトリーによる血清試料の網羅的発現解析手法についても、基礎的検討を開始した。
|