研究課題
基盤研究(B)
本研究では、1)佐賀県において1993年度より開始されたHCV抗体スクリーニングが肝癌対策に貢献しているかどうかの評価を行い、2)慢性肝炎から肝硬変・肝癌への進展に関与する宿主要因(アルデヒド脱水素酵素[ALDH2]、アルコール脱水素酵素[ADH2]、チトクロームP450 1A2[CYP1A2]、hOGG1などの候補遺伝子多型)と環境要因(飲酒・喫煙・コーヒー飲用など)を症例対照研究の手法により検討した。1)については、平成13〜14年度の佐賀市肝疾患検診受診者でHCVキャリアと判定された167名(協力率82%)の調査結果に基づき、インターフェロン投与率が8%と低く、医療機関側の対応が必ずしも適切でない可能性について学会報告を行った。2)については、平成16年3月までに調査を完了した肝細胞癌患者209名と慢性肝疾患患者381名(肝癌合併のない肝硬変または慢性肝炎患者)を比較検討した。飲酒については、全体として一日三合以上の多量飲酒が肝癌リスクと強く関連し(オッズ比7.0)、三合未満の少量・中等量飲酒との関連は明らかでなかった。しかし、ALDH2不活性型(ALDH2*1/*2)の者では少量・中等量飲酒でも肝癌リスクが上昇し(オッズ比2.0)、また少量・中等量飲酒者の中ではALDH2不活性型(ALDH2*1/*2)かつADH2活性型(ADH2*2/*2)の者のリスクが最も高く、肝発癌におけるアセトアルデヒドの関与が示唆された。喫煙については、特に最近5年間の喫煙量が肝癌リスク上昇と強く関連しており、この関連はCYP1A2の誘導性が高い野生型(w/w)の者において明瞭であり、喫煙が肝癌進展の末期の段階に関与している事が示唆された。hOGG1遺伝子多型との関連は明らかでなかった。また、コーヒー飲用が肝癌リスクを低下させる可能性(一日三杯以上のオッズ比0.5)が示された。
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