研究課題/領域番号 |
15390189
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
上田 厚 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (10040198)
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研究分担者 |
原田 幸一 熊本大学, 医学部, 教授 (00094029)
大森 昭子 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (60040193)
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キーワード | 即時型アレルギー / 遅延型アレルギー / 農業従事者 / 職業業関連アレルギー / アレルギー学的集団調査 / 作業環境調査 / 抗原物質の抽出 / 免疫毒性 |
研究概要 |
本研究は、労働の現場のアレルギーの実態を産業疫学的に捉え、発症の予知、反応予測、許容原価の設定、治療と医学管理および作業現場の工学的改善を包括的に進める6つのステップからなる系統的な予防管理システムを開発することを最終目的としている。本年度は、それぞれのステップにおける解析技術とそれによる結果の評価を収集、整理することを目的に、前年度対象としてとりあげたハウスミョーガ栽培集団を継続して追跡した。すなわち、ステップ1にあたる作業と作業環境および作業者の健康の様態について、栽培歴にしたがってフィールド・スタディを実施した。その結果、ミョーガの成分として、6種類の揮発性芳香化合物、フルクトース、低分子蛋白を確認し、ステップ3(感作性の確認)にあたるモルモットマキシミゼーションテストにより、ミョーガジュースおよびlimonene-oxideにextreme (Kligmanの基準)の感作性が認められた。いっぽう、某集落ミョーガ栽培集団36名について疫学調査を実施したところ、8名(22%)に接触皮膚援用の症状を認め、うち4名にミョーガ抽出成分によるパッチテストを施行したところ全員に,+以上(ICDRGの基準)の陽性反応が認められた。さらにステップ4(抗原性評価に関する実験的研究)に関し、in-vivo(マウス耳介肥厚試験)+ir-vitro(Th1細胞の産生能試験)のモデル実験系を設定し上記物質の感作性評価に着手した。また、ハウストマト栽培集団およびレタス栽培集団にも研究対象を拡大し、前者に即時型アレルギーの、後者に遅延型アレルギーの発症例を認め、これらに対する追跡研究を開始した。このように、本年度は、アレルギーの発症危険を持つ農作業集団を対象に、本研究の作業仮説として設定した農作業に起因するアレルギーの包括的、系統的予防管理システム(ステップ1〜6)の各システムの要点となる手法について検討し、最終的なシステムの開発につながる基礎的知見が得られた。
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