研究課題
我々はインフルエンザウイルスの変異をviral populationの変化でみようとした。そのため、同一患児の感染初期と後期のウイルスについてRT-PCRを行い、その産物をクローニングして塩基配列を決定し、ウイルスのpopulationとその変化を観察した。材料と方法:2001-02年、02-03、03-04シーズンにおいてインフルエンザ様疾患の患者から経日的に鼻汁を採取した。鼻汁はMDCK細胞に接種して、ウイルス分離した。ウイルスRNAを抽出し、HA遺伝子のHA1領域のほぼ全域についてRT-PCRを行った。PCR産物はクローニングし、1つの分離株について20から54クローンについて981塩基をシークエンスした。予備試験:鼻汁およびMDCK細胞で分離された初代分離ウイルスさらに2代継代ウイルスについてウイルスpopulationを観察した。試験は2人の患児について行った。その結果、鼻汁、初代分離ウイルス、2代分離ウイルスのウイルスpopulationに差違はみられなかった。そのため本試験では、初代分離ウイルスあるいは2代分離ウイルスを用いた。結果:10人の患児(年齢:1月齢から6歳)について感染初期と後期のウイルスを分離した。インフルエンザウイルスpopulationは、全く同一のシークエンスを持つ大多数のクローンで構成されるmajor populationと同一シークエンスを持つごく少数のクローンによるminor populationとクラスターを作らない独立したcloneに分類された。10人の感染初期と後期のウイルスのpopulationには変化はみられず、major populationは同じ塩基配列を示した。しかし、これらの患時を経時的に比べた場合は、たとえ同じシーズン中であっても、major populationの塩基配列は全て異なっていた。結論:同じ生活区域で経時的にみた場合は、インフルエンザウイルスの遺伝子変異は明確に観察された。しかしながら、インフルエンザウイルス感染個体においては、臨床経過中にインフルエンザウイルスpopulationの変化はみられなかった。
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