研究概要 |
本研究の目的は、宮城県の地域住民を対象として1990年に開始した前向きコーホート研究の資料を活用して、追跡期間中に新たにがんに罹患した患者について、病前に測定したパーソナリティおよびストレスと、その後の生存率との関連を検討することである。二年間の研究の最終年度にあたる本年度は、初年度に作成したデータセットを用いて、パーソナリティ及びストレスと生存率との解析を行った。 1990年にベースライン調査として、生活習慣に関する質問票とパーソナリティ質問票(Eysenck Personality Questionnaire Revised)による調査を行い、41,442人が双方に回答した。宮城県地域がん登録との記録照合による追跡調査を1997年末まで行い、1993-1997年の期間に罹患したがん新規罹患症例890例を対象とした。これに先立つ1990-1992年の期間の罹患例については、病変の進展度に関する情報が欠損していたため除外した。890例の対象者をさらに2001年3月まで追跡したところ(3,331人年)、356例の全死因死亡を確認した。 パーソナリテイ尺度の最小四分位群を基準とする最大四分位群の全死因死亡に関する多変量補正相対危険度(95%信頼区間)は、extraversion、neuroticism、psychoticism、lieで、それぞれ1.0(0.8-1.4;Trend P=0.73)、1.1(0.8-1.6;Trend P=0.24)、1.2(0.9-1.6;Trend P=0.29)、1.0(0.7-1.5;Trend P=0.90)だった。すなわち、いずれの尺度も、生存率との有意な関連を認めなかった。ストレスに関する質問の回答についても同様の検討を行ったが、生存率との有意な関連を認めなかった。
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