研究概要 |
新潟県内2市村の平成10年基本健康診査受診者8,651名を対象とした循環器疾患・糖尿病の生活習慣関連危険因子に関するコーホート研究であり,平成15年度には死亡者の死因調査を行い,生存者の疾病罹患・受療状況アンケート調査を開始していた。 平成16年度には疾病罹患・受療状況についてのアンケート調査を回収・集計した。アンケートによって平成15年までに新規発症が疑われた対象者は脳梗塞114名,脳出血19名,くも膜下出血15名,病名不明脳卒中6名,病名不明の麻痺症状31名,入院を要する頭痛4名,急性心筋梗塞71名,狭心症39名,病名不明の胸痛治療49名,糖尿病104名(うち薬物治療中127名)であった。 平成15年度の死亡者調査と合わせた発症疑い総数は,脳梗塞144名,脳出血38名,くも膜下出血19名,病名不明脳卒中6名,病名不明の麻痺症状31名,入院を要する頭痛4名,急性心筋梗塞36名,狭心症40名,病名不明の胸痛治療49名,糖尿病104名,突然死12名であり,医療機関のカルテ調査手続きを開始した。 死亡者について平成10年のベースライン調査をもとに生活習慣危険因子の分析を行った。性・年齢補正による分析の結果,喫煙は総死亡,がん死亡,非がん死亡の全てについて死亡リスクを有意に上げる要因であった(P<0.05)。一方,時々の飲酒は総死亡(P<0.05),がん死亡(P<0.1),非がん死亡(P<0.1)の死亡リスクを下げる傾向がみられた。運動・身体活動,緑黄色野菜や淡色野菜の摂取は総死亡,がん死亡,非がん死亡いずれとも有意な関連は認めず,嗜好飲料では緑茶1日5杯以上摂取(P<0.05),2・3日に数杯〜1日4杯(P<0.1)が週数杯以下に比べて非がん死亡リスクを下げ,コーヒー1日5杯以上摂取が週数杯以下に比べてがん死亡リスクを上げる傾向がみられた(P<0.1)。
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