研究概要 |
【研究目的】 本研究は平成10年度に作成したコーホートから平成15年までの循環器疾患・糖尿病の罹患者,および死亡者を把握して危険因子を分析することを目的としている。本年度は(1)平成16年度までのアンケート調査等で把握された罹患疑い者の罹患確認作業を目的として研究を進めた。また,表題の生活習慣は体重と密接に関連することから(2)平成5年〜10年までの体重変化と死亡の関係を明らかにすることを目的として分析を行った。 【研究方法】 (1)心筋梗塞,狭心症,脳卒中,糖尿病,突然死への罹患が疑われた639名を対象としてカルテ調査を実施している。 (2)全コーホート8,561名中,平成5年にも体重が測定されていた40歳以上の4,988を対象とし,平成5〜10年の5年間の体重変化と平成10年〜15年のがん死亡(72名)非がん死亡(96名)との関連を検討した。 【結果と考察】 (1)448名のカルテ調査を終了した。来年度も継続して罹患状況を確定した後,詳細な分析を行う。 (2)平成5年と10年いずれも非低体重(BMI≧20kg/m2)の非低体重群は4,124名,非低体重から低体重に移行した体重減少群は241名,持続して低体重であった持続低体重群は623名であった。性・年齢・喫煙習慣変化を補正したコックス比例ハザードモデルの結果,非低体重を基準としたがん死亡は体重現症群で有意に高く(HR=2.4,95%CI=1.2-4.9),持続低体重は有意なリスクではなかった。よって,低体重者でみられるがん死亡リスクの上昇は診断前のがん罹患を反映したものと考えられた。一方非がん死亡では持続低体重も有意なリスクであったが,これは平成5年当時に何らかの疾病で治療を受けていた者のみで認められており(HR=3.5,95%CI=1.4-9.3),疾病罹患が低体重の原因と考えられる。よって,低体重が死亡のリスクである可能性は低い。
|