研究概要 |
新潟県十日町市および中里村の平成10年度基本健康診査受診者で生活習慣アンケートに協力が得られた8,651名について平成15年12月まで追跡し,脳梗塞74名,脳出血39名,くも膜下出血16名,急性心筋梗塞23名,糖尿病74名の発症を確認した。うち,追跡開始時年齢40〜89歳の7,753名(男性2,644名,女性5,109名,平均年齢59.1歳)について,嗜好飲料,食習慣,運動習慣と,脳梗塞(74名),脳出血(39名),急性心筋梗塞(23名),糖尿病(74名)各々の罹患との関係を分析した。くも膜下出血,突然死については発症数が少なかったため今回の分析からは除いた。 性,年齢,血圧,血清脂質,喫煙・飲酒習慣,高血圧・高脂血症・糖尿病既往歴,受療中の疾病有無,家族歴,心房細動(脳梗塞のみ),BMI(糖尿病のみ)を補正したコックス比例ハザード分析の結果,緑茶が脳梗塞と脳出血を予防する可能性が示唆されたが急性心筋梗塞,糖尿病とは有意な関連はなかった。 食習慣では淡色野菜摂取頻度や果物摂取頻度の少ないことが脳梗塞の危険因子である可能性が示唆され,果物摂取の多いことが脳出血に予防的に働く可能性が示された。一方,肉主体の主菜摂取が脳出血の罹患と有意な正の関連を示し,今後の検討課題と考えられた。 運動習慣では仕事での身体活動が多いことが糖尿病の予防因子である可能性が示された一方,脳出血には危険因子となる可能性が示唆された。普段の歩行時間,運動習慣,自覚的な運動習慣はいずれの分析対象疾病とも有意な関連は認めなかった。 なお本コホートでは生活習慣と急性心筋梗塞罹患の間に明確な関係は認めなかったが,発症数が23名と少なかったことから,さらに検討が必要と考えられた。
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