65歳時点の生活習慣、体力、免疫能などの違いがどのように老い(死亡、罹患、痴呆、寝たきり)に影響を及ぼすかを検討し、さらにこれら情報を元に健やかに老いることを目指した積極的な働きかけを提案するために研究を開始した。本研究は1996年度よりN市で開始された65歳すごやか健診をベースとしている。ベースラインの調査は本年度まで10年間継続し、その結果、3098名の65歳コホートを構築した。 追跡のために、ベースライン時点より6年後に生存しかつN市内に在住する者に対して健康状態調査を行っている。健康状態の把握には、2002年度に開始された70歳健診の場を用い、6年間の疾病罹患ならびに6年後の時点での検査値異常を調査した。さらに、未受診者には市と共同した調査を行い、認知症、寝たきりへの移行も調べた(訪問調査)。この調査は、今年度で5年目を迎えた。 収集したデータはすべて氏名、生年月日のうちの日などの個人同定可能情報を外しコンピュータに入力し、利用できる形に整え、横断的に収集された各データ間の関連を検討できるようにした。1996年・97年・98年・99年度の受診者253名・266名・268名・321名のうち2002年・03年・04年・05年度の調査時点で受診者130名(51.4%)・149名(56.0%)・157名(58.6%)・185名(57.6%)、死亡16名(6.3%)・13名(4.9%)・11名(4.1%)・12名(3.7%)、転出19名(7.5%)・16名(6.0%)・12名(4.5%)・15名(4.7%)、訪問調査実施者73名(28.9%)・69名(25.9%)・75名(28.0%)・90名(28.0%)であった。要介護認定者はそれぞれ2名・4名・2名・0名であった。なお、死亡者の死因については、人口動態統計資料の目的外使用申請を行っているところであるが、現在までに許可は得られていない。引き続き、担当課と調整をはかり、情報を利用できるように体制を整え、高齢期を健やかに過ごすことに関連する要因を探索する予定である。
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