研究概要 |
【目的】 島根県T町の地域住民を対象に糖尿病網膜症の頻度と危険因子を明らかにするため疫学資料を収集した。 【方法】 1.対象者:対象者は島根県T町の地域住民で老人保健法に基づく基本健康診査対象者(年齢40-69歳、男女)である。 2.臨床検査:老人保健法に基づく基本健康診査より(1)身長、体重、(2)血圧(収縮期血圧、拡張期血圧)、(3)検尿(蛋白、潜血、糖)、(4)血液検査〔貧血(赤血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値)、肝機能(AST、ALT、γグルタミルトランスペプチターゼ)、血清脂質(総コレステロール、HDL-コレステロール、トリグリセライド)、腎機能(クレアチニン)、耐糖能(血糖、ヘモグロビンA1c)〕の疫学資料を収集した。 3.糖尿病網膜症のスクリーニング (1)問診:自己記入式質問票により既往歴(脳卒中、心臓病、糖尿病)、糖尿病の既往と治療の有無、糖尿病の罹病期間、糖尿病の家族歴について疫学資料を収集した。 (2)眼底検査:老人保健法に基づく基本健康診査により撮影した眼底写真を眼科専門医2名が判定した。眼底の判定はDAVISの分類(Simple, Preproliferative, Proliferative)、Keith-Wagenerの分類(I群、IIa群、IIb群、III群、IV群)、視神経乳頭陥凹(生理的、緑内障性)、黄斑部変性の有無である。 [結果] 解析対象は島根県T町が平成15年度から平成17年度の3年間に実施した基本健康診断を1度でも受診した者である。解析対象者数は617名(男219名、女398名)であった。平均年齢は男54.3歳(SD=12.3歳,範囲18-69歳)、女53.8歳(SD=13.1歳,範囲18-69歳)であった。解析対象者617名より609名の眼底写真の所見が得られた。DAVISの分類では正常が596名(97.9%)、Simpleが5名(0.8%),Preproliferativeが2名(0.3%),Proliferativeが0名であった。
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