研究課題/領域番号 |
15390202
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
平野 均 山口大学, 保健管理センター, 助教授 (70228807)
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研究分担者 |
苗村 育郎 秋田大学, 保健管理センター, 所長・教授 (00155988)
北村 俊則 熊本大学, 医学部, 教授 (30146716)
坂元 薫 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (30205760)
岡野 禎治 三重大学, 保健管理センター, 助教授 (90169128)
湊 博昭 一橋大学, 保健管理センター, 教授 (80114669)
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キーワード | 季節性感情障害 / 季節関連性精神疾患 / 青年期 / 有病率 / 治療法 / スクリーニング / Global Seasonality Score(GSS) / 出身地日照環境 |
研究概要 |
【目的】 平成16年度に全国10大学新入生を対象として、季節性感情障害(SAD)等の有病率解明を目的とした調査を実施する。その予備調査として、本学新入生にGlobal Seasonality Score(GSS)を施行した。 【対象と方法】 GSS得点12点以上の要精査学生を呼出し、構造化面接を行った。またGSS得点分布、要精査中のSAD罹患学生の割合、GSS得点と出身県日照環境との関係を調査した。 【結果】 GSSには1,943名が回答した。女子と男子の平均得点は5.05±3.78と4.93±3.80で有意差は無く、12点以上の人数は50人(6.24%)と67人(5.64%)であった。 要精査117名中61名が構造化面接に応じ、女子11名と男子3名がSAD、またはSAD疑い例と診断された。SADは全例が女子で、抑うつ状態の既往が1回しかないSAD疑い例は、女子7名と男子3名であった。SADではないが、睡眠や体調に顕著な季節性を有する男女が1名ずついた。 都道府県別GSS得点平均値と種々の日照環境データとの相関係数は、気象観署緯度とにおけるr=0.116が最高値であった。しかしGSS得点標準偏差と、4月〜9月の平年値6ヶ月積算日照時間との間に、有意な正の相関(r=0.491)が得られた。さらに、4月〜9月と10月〜3月の全天日射量積算値の差との間にも、正の相関が得られた。 【考察】 新入生のGSS得点は予想以上に高く、SAD羅患率は疑い例も含めて著しく高値であった。そのため、罹患学生の早期発見と治療への早期導入、また罹患危険性の高い学生への健康教育の重要性が示唆された。 一方、GSS得点標準偏差と日照環境データとに、有意な正の相関が得られた。このことから、暖期の日照時間が長い地域、あるいは暖期と寒期の全天日射量の差が大きい地域ほど、日照環境変化に感受性の高い学生は影響を受けやすいことが推測された。
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