研究課題/領域番号 |
15390206
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
斎藤 重幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60253994)
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研究分担者 |
浦 信行 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (20185078)
東浦 勝浩 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10295347)
高木 覚 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20295348)
島本 和明 札幌医科大学, 医学部, 教授 (40136940)
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キーワード | アディポネクチン / インスリン抵抗性 / 地域住民 / 疫学研究 / 性ホルモン / 危険因子 / Metabolic Syndrome |
研究概要 |
【目的】一般住民おける冠危険因子とインスリン抵抗性、アディポネクチンの関連を検討する。今年度は冠危険因子集積の新しい概念であるMetabolic Syndrome(MS)に注目して解析する。 【方法】対象は端野町、壮瞥町住民検診受診者1519名のうち高血圧症、糖尿病、高脂血症治療者を除いた男女682名(平均年齢61.3±12.0歳)。評価項目はbody mass index(BMI)、腹囲(臍周囲)径(WC)、収縮期血圧値(SBP)、拡張期血圧値(DBP)、空腹時血糖値(FPG)、総コレステロール値(TC)、中性脂肪値(TG)、HDLコレステロール値(HDL)、血清アディポネクチン値(Adipo)、空腹時インスリン値(Ins)。インスリン抵抗性はHOMA指数(FBSxIns/405)として評価。また以下の項目で3つ以上満たすMS群、それ以外をNon-MS群に分類。内臓脂肪型肥満:男性WC≧85cm、女性WC≧90cm、高TG血症:TG≧150mg/dl、低HDL血症:HDL<40mg/dl、血圧高値:SBP≧130mmHgかつ/またはDBP≧85mmHg、空腹時血糖高値:FPG≧110mg/dl。 【結果】年齢、HDLはAdipoと有意な(p<0.001)正の相関、HOMA指数、BMI、WC、DBP、FPG、TGとは有意な(p<0.001)負の相関を認め、SBPはp=0.056と負の傾向を認めた。Adipoを従属変数とした重回帰分析では性差、年齢、WC、TG、HDLが独立変数として採択された。MSの各因子の割合は内臓脂肪型肥満18.9%、高TG血症13.5%、低HDL血症8.2%、血圧高値45.2%、空腹時血糖高値7.3%であり、Adipoは血圧高値では有意差を認めなかったが、内臓脂肪型肥満、高TG血症、低HDL血症、空腹時血糖高値にて有意に(それぞれp<0.001、p<0.001、p<0.001、p=0.007)低値であった。MS群は全体の8.4%(57/682名)でありAdipoはNon-MS群と比し有意な(p<0.001)低下を認めた。 【結論】今回の検討で、Adiponectinが、インスリン抵抗性、高血圧症、耐糖能異常、脂質代謝異常などの個々の危険因子に関連することが確認された。また、腹部肥満と軽症危険因子からなるMetabolic Syndromeを構成する各々の因子は独立してAdiponectinと関連していることを確認し、MSではNon-MSに比しアディポネクチンが有意に低下していることが明かとなった。次年度は、各々の病態が出現時期と低アディポネクチン血症の発症時期との関連を含めて解析する。
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